2013年12月27日金曜日

小さすぎるポルシェ型 【ヰセキTR-1】

ずっとコレを観たかった!やっと巡り会えたぜ井関農機TR-1!

見ての通りポルシェやヰセキTBシリーズの子分にあたる最小モデルで、まるで手作りの一品物のようなマスコット風味です。超カワイイ!

ISEKI TR-1 耕耘機エンジンとベルト駆動の「乗用耕耘機」
まぁ実際に見ると流石に無理があって微妙なバランスの部分がありますが、それだってマニア的には萌えポイント、ぶっちゃけカウルだけ似せている気もするけれど、基本的にはヰセキTBシリーズの特徴的なデザインを見事に踏襲しています。

(TB…かつて井関農機はポルシェ・ディーゼル社製の3つの大型モデルを輸入販売しつつ日本の国情に合った小型モデルをポルシェと技術提携して開発しました。それがポルシェのデザインを持つTBシリーズです。時期的には1963年にドイツ本国のポルシェ・ディーゼルがトラクター生産を終了する前後にポルシェの輸入(1962 ~66年)とTBの生産を始めているよう《←今回初めて気づいて混乱中です!》。ポルシェ輸入終了後にチェコのゼトアを輸入販売するのですが、その時期にもTB17と23、そしてTR-1Sがポルシェ同様のデザインのまま数年販売されていたようです。)

ISEKI TR-1 イセキ 乗用耕耘機

斜め後ろから見ると特にイイネ!カウル後部も見事な造形。本当は前輪の車軸をもうすこし前にて大きなタイヤにすれば更に格好良くなったでしょうけれどね。

TBシリーズで最も大きくてポピュラーなTB-20(と23)は完成形と言いたくなる程バランス良いスタイルですが、TB-17>TB-15>TR-1と、小さいモデルになるほどプロポーションが崩れる感じが面白く愛しいです。


後部。乗用耕耘機タイプはロータリーとワンセットが普通なので、こうして車体後部が見れるとちょっと嬉しいですね(?) 一瞬PTOはどこだ?と思ったけれど横向きにスプラインシャフトが出ていました。中身は全部横軸のままのギアトレーンなのでしょうか。どこも色が剥がれていないのでオールペンしてからは働いてないようです。


ISEKI TR-1 イセキ 乗用耕耘機
TBシリーズと最も異なって見えるエンジン右側。始動ハンドル付きのフライホイールが目立っています。よく考えるとこの方式は古典的な農発そのもので、何か古臭いような新鮮なような不思議な気がしました。ここの奥の方には始動が困難の時にはガソリンを使うよう指示するラベルがあります。ちなみに水冷の灯油エンジンです。


こういった形状のエンジンは各種あるのですが、14psモデルなのでヰセキG10という汎用農発からライトを取り除いた物のようで細部のディテールまで一致しています。
下の写真がそのG10Aで、824cc 最大出力14ps 常用出力10ps/2000rpm 117kg 
 

なお、このエンジンは三菱「かつら」系のOEM製品らしく見た目もカタログデータも三菱K10と同じです。という事はK10を積む三菱の14ps乗用耕耘機「R105」とTR-1は兄弟のような存在なのですね。車載型はフライホイール外縁が別部品になっている点もR105等々と同じで、おそらく巻き込み防止用に固定ガードを追加しているのでしょう。

ちなみに、ミツビシ、サトウ、スズエあたりが同系エンジンの2輪や4輪の耕耘機を販売している様で、中には車体丸ごと同じ型と思われる機種も見受けられます。しかし、このTR-1の場合はエンジンの供給を受けただけで車体はヰセキで作った筈です。

ISEKI TR-1 イセキ 乗用耕耘機

う~ん。やっぱりこの完璧なミニチュア版カウルの出来に惚れ惚れしてしまいますね。
エンジン写真のダサさを見ると同時代とは思えません(笑)

ポルシェ・TBの全モデルは強制空冷式エンジンですが、水冷のTR-1ではラジエターがエンジン後部に有るのでグリルは必要ありません。つまりデザインだけのダミーグリルなのでしょう。

いや、元々このエンジンはライト付きの農発なので、ダミーグリルどころかカウル自体が邪魔なくらいです。しかしヰセキはわざわざコストを掛けてポルシェ譲りのデザインを踏襲し、商品展開の上から下まで統一デザインで揃えたようです。

日本企業がCI (コーポレート・アイデンティティ)をブームのように取り入れる遥か以前に、トラクター界ではこんな物が存在したんだなぁとシミジミ思ってしまいます。とある大自動車メーカーなど他社のデザインをつまみ食いしているイメージがあるのですがね・・・今だに。

まぁ、とにかく素敵な農機で、またどこかで見かけたらじっくり観察したいものです。

◆年末にもなって今さら真夏の事を書いおりますw。
◆初期のトラクターと違い本州等でも多く普及したサイズなので全国レベルでの現存数は多いのかもしれません。
◆場所は旭川 ホクレン油機サービス」さん。←クリックでグーグル・ストリート上で存在を確認できます。(追記)無くなりました。

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さて、新しい事が分かれば追記するとして、いくつかを備忘録的に。

 【TR-1】
Tractor & Construction Plant Wiki さんから。
ここは古くからウチ以外に検索ヒットする唯一のページでした。

てっきりライトの位置が欧州っぽくて海外仕様かと思っていましたが、今回の個体はズバリこの形でしたね。
ここのデータでは馬力15hp=11kw。 
 カウル横のデカール文字「ISEKI TR-1」は斜体のように見えるので、そこが今回の発見車両との唯一の違いといえるかも知れません(発見車はオールペンしながらもデカール部分は塗り残してありました) 。今回の車体製造ナンバーが500番台だったのでこのタイプが比較的初期とすると納得です。

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【TR-1S】
 一方コチラは9年前にウチのHPで「孫ポルシェ」として少し触れた時の画像。TR-1に「S」というサブタイプ名が付いています。
 
ヘッドライトの位置が「本来あるべき場所」にあるので非常に格好良く、エンジン吸気口もポルシェやTBに倣ったのか外に出ています。デカール文字は菱型3個の「ヰ・セ・キ」印に変わっていて同時期のゼトアやTB-17やTB-23と同様です。

 当初はコチラのほうがミニチュア的再現度が高い上に、このライトの位置だとベルト作業の邪魔になるので「対策前」の初期のモデルなのかと思っていました。

 ミニカタログにはTR-1S、TR-1L、TR-1LDの3タイプが記載されていますが、この時点で素の「TR-1」が無いので後継モデルの位置づけなのだと思います。

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ぐぬぬ・・・TR-1L
【TR-1L】
 かかか…格好わるいいいい!!

あの惚れ惚れするTB譲りのカウル「だけ」を無くしたような型・・・でも他社ではこれが普通なんですよね。いくら審美眼のない人でもこれを「機能美」と強弁する事はないでしょう。やはりエンジンをただ積むだけではつまらないのです。

TR-1Lは搭載エンジンを「一般農用エンジン」とするエンジン選択可能なモデルですので、当然カウルを諦めなければなりませんでした。エンジンまわり以外は同時期のTR-1Sと同じと思われます。

この画像は1968年頃のTR-1L単体のカタログの物で、他の2バリエーション、TR-1S(水冷灯油)、1LD(空冷ディーゼル)は存在していたと予想しますがリストすら載っていませんでした。TR-1LDではこれと違うエンジンが設定されていますが、ヤッパリこんな格好なのでしょうね。