2018年12月11日火曜日

1/43 ランツ ブルドッグ HM 8 Mops と D2016

今回もまた1/43の新作を入手しました。ランツの「ブルドッグ」型としては最初期と最後期の典型的なスタイルを楽しめる2台となります。

どちらもメジャーかつ魅力的でありながら1/43モデルが存在しなかった型なので、コレクションの穴を埋める現状最高の機種選択だと言えます。おお!ついに出た!

ランツ・ブルドッグ HM 8 Mops 

Lanz bulldog HM 8 Mops 1923

1921年、ランツ社は世界初の焼玉エンジンを採用したトラクターであるHL-12「ブルドッグ」12馬力を発売、その2年後そっくりそのまま小型化して発売した8馬力版が今回のHM-8です。

Lanz bulldog HM-8 HL-1212馬力と8馬力は見分けがつかない程に類似していますが、エンジン出力が2/3と大きく違う事から分かるようにボディサイズ自体が違います。人が触るハンドルとシートの大きさに変化は無いために写真で比べるとそこが一番変化して見えるという逆転現象が起ります。トラクターあるあるですね(笑)

この8馬力はヒット作の兄貴分12馬力とは違い1923-1925年に僅か250台で製造を終えています。しかし小型で魅力的なスタイルと少ない生産数から逆に後年のコレクターにとっては垂涎の的になっているようです。

8馬力にはMopsのペットネームが付きます。「ああ、またランツ特有の奇妙な名称なのか」と思っていましたが、単純にドイツ語で「パグ犬」の意味らしいです(笑)

海外のネットを見ると12馬力もMopsと呼んでいる例もあるのですが、当時の2種しかない時点での「大きいHL-12ブルドッグ」に対する「小さいHM-8パグ」だろうと思うので厳密にはそれは違うかなと感じます。格段に大型化した後年の感覚でパグの類というニュアンスで言っているのでしょうけど。

●1/43モデル

ついに1/43で最初期ブルドッグが出ました‼現時点で初代ブルドッグの12馬力がない事は不思議としか言いようが有りませんが、ともあれこのスタイルの模型が出た事は最高に嬉しいです。何時か12馬力が出るでしょうから並べて大きさの違いを感じてみたいですね。

というか高品質な1/16で出てるべきなんですが。

塗色はほぼ全部がツヤ有り真っ黒で写真に撮りづらいったらありゃしないです(笑)ホイールだけは赤いイメージがあるのですが、それらはグミ(ソリッドゴムタイヤ)仕様が殆どで鉄車輪ではこの通り真っ黒だったのかと思います。

そうそう、鉄車輪だけのチャームポイントとして木製ブロックのブレーキパッドは目立つので塗り分けて欲しかったな。新車納入時は黒かったのかもしれませんが。

Lanz bulldog HM 8 Mops 1923
出来は凄く良好で文句なしと思いますが、トラクター模型の泣きどころであるフロントアクスルの太さは特に目立つ気がします。やっぱり物が小さいだけに強度面や各種リンケージの再現など無理が出るので大きなスケールで見てみたい機種です。

  ランツブルドッグD2016

Lanz Bulldog D2016 1955 Traktoren Sammlung

時代は飛んでランツ社としては最後の世代、フル・ディーゼルの20馬力型です。

D2016は個人的に実際に見たランツとしては一番現存数が多く、資料面から見ても北海道に最多輸入されたランツなので「日本に最も多く輸入されたランツ」と考えて間違いないかと思います。当時を知る日本農家にとってはこれこそがザ・ランツの姿ではないでしょうか。

製造時期は1955-60年で、1958年夏からはジョンディア・ランツとして緑・黄色のジョンディアカラー仕様になり日本にも輸入されています。

見た目は16馬力のD1616と同じで、エンジンのボア130mm、ストローク170mmも同一、噴射装置と回転数の違いでパワーを上げているそうです。水平単気筒シリンダーがシャシーブロックを兼ねるランツですが、データ上は若干寸法が違うので車体がまるっきり同じとも言えない様です。まぁタイヤを替えるだけで全部の寸法が変わるのですが・・・

Lanz Bulldog D2016 1955

●1/43モデル
前回のD2806に続いて日本に輸入されたランツの嬉しい1/43モデル化になりました。しかもランツとしては国内に多いタイプですから、Oゲージ、Oナローの鉄道ジオラマにも国籍問わずに使える汎用性?があります。

出来は他のIXO製トラクターと同様にプロポーションもディテールも良好です。仕様としてはロールバーが余計に思えるのですが、今後16馬力やジョンディア・ランツ版がプレーン状態で出る可能性もあると期待しておきます。

なお、いつもミニチュアの写真では明るい青に写ってしまいますが、実際の製品は暗いブルーグレーで本物っぽい色だと思います。
一見しての印象は「抜群の出来」でしたが、実車の似た角度と見比べてみても印象は変わりませんね。
この実車は良い雰囲気ながら塗り直しているので色は参考になりませんが、もし日本仕様に拘るなら写真のように大判焼き型のウインカーとミラーとナンバープレートを追加工作したいところです。

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今回紹介したのは例によってドイツ・アシェットのTraktoren Sammlung付属の1/43ミニチュアです。発売後しばらく様子を見たものの結局はボッタクリ気味のebayで入手しました。製造メーカーのIXOブランドで発売されれば安く手に入るのですが、現状ではいつ何が出るか分からないのでとても悩ましいものです。

No.49 Lanz D2016 1955
No.53 Lanz HM 8 Mops 1923

近年の1/43ランツとして(個人的なカウントでは)10、11品目になります。

●ランツ・ブルドッグ 1/43スケール 8種

●ランツ ブルドッグ D2806 あれこれ