アメリカはアーテル社製1/16プレシジョン(精密)シリーズのひとつ、ジョンディアでは18番目の商品になります。当ブログとしてはファーガソンTEA-20 「スー」に続く「冬季・着衣トラクター」の第2弾ですが、この2つしか製品が見当たらないので最終回です。
1/16 John Deere 720 Tractor w 80 Blade & 45 Loader, ERTL Precision #18 |
まぁ手放しに格好良いとは言いかねるスタイルですが、こういう「牧場で使われる冬季仕様のトラクター」という企画物は他に例が無く、ブツとしての存在感も異質なのでコレクション上では面白いアイテムかと思います。
また、写真ではイマイチかも知れませんが、この製品の最大の特徴である運転席を覆う防寒カバーには中を覗くとギッシリ詰まったディテールが見えてニンマリできるチラリズム(@浅香光代)の魅力があります。
ベースのノーマル仕様のJD720自体がプレシジョン・シリーズなので元来のディテールも豊富でして、その見せ場を惜しげもなく覆う贅沢さが嬉しいわけです。でもそれは所有して初めて分かる満足感なのでブログでは上手く伝えられません。
そのキャンバスカバーもエンジン横は別体なので紐をほどいて外せばエンジンのディテールを楽しむことが出来るようです。
一方で、この出来の割に意外だったのですが、後部ドーザーブレードはピン等でヒッチに接続するのではなくフックを軽く引っかけるだけなので、持ち上げたり動かしたりするとすぐ外れてしまいます。同じようにフロントローダーのヘイフォークには除雪板(?)を差し込み式で付けられるのですが、これもユルユルでちっとも固定されません。これは遊ぶ玩具ではないぞ!という主張でしょうか。もっとも、一部キャンバスのステッチのラインに個体差があったりするので、単にいつものアーテルらしい「大らかさ」かも知れませんが(笑)
さて、ノーマルのJD720に付加される装備をまとめますと、1:フロントローダー(ヘイフォーク)、2:ヘイホークに差し込む除雪板、3:リア・スノーブレード、4:ウインドスクリーン付きの運転席キャンバスカバー、5:エンジンサイドのキャンバスカバー、6:リア・タイヤチェーン、7:ホイール・ウエイト・・・
そのどれも単品売りや同様にセットされる商品のないスペシャル・パーツであった事が凄いですね。実車のジョンディア・オーナーやマニアの中には、特定のオプション目当てで部品取りに買った人もいるかも知れません。
この冬装備のメインと言えるキャンバスカバーには適度な厚みのある生地が使われ、布端も縫って処理してあります。個人的な感想ですが、後に出たUH「スー」の薄い切りっぱなし生地の接着処理と比べて好ましい仕上がりで、1/6フィギュア的な(表現はオーバースケールになるものの)素材感によるリアルさの追求は十分に成功していると思います。
その他にない自然なシワやたるみが、メカそのものといったトラクター・ミニカーのコレクションでは異質なリアリティと面白味を放つ逸品になっています。
(ノーマルの方が格好良いけれど物足りなく見えちゃう、という迷惑な面もありますが・・・)
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私は以前購読していたクラッシック・トラクター雑誌(米)の広告で一目惚れし個人輸入しました。しかし入手してみると意外と大味な作りで、見本写真が良過ぎだったと分かって意気消沈(アーテルの広告写真にはよくヤラれます!)、以来、紹介することもなく、手の込んだ各種パッケージング材もそのままに仕舞っていました。
ところが数年の時間が経ち、前回、「スー」を撮ったついでに引っ張り出してみると、イヤイヤどうして、主観的なハードルが下がってしまっていた事もあって「当初の憧れどおり良い出来じゃないか!」と目をハート型にして思い直しました。
なお、発売されてから少し月日が経っているので、最近増えている国内のトラクター・ミニカー取扱店でも入手は難しいかと思います。いったい日本には何台あるでしょうかね・・・現在、アメリカではとくにプレミアは付いていない様子なので欲しい方は個人輸入してみる事をお勧めします。
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