2012年3月23日金曜日

着衣トラクター2 ジョンディア 720

JD 720 ナローフロント 80ブレードと45ローダー付き(アーテル プレシジョン 1/16)

アメリカはアーテル社製1/16プレシジョン(精密)シリーズのひとつ、ジョンディアでは18番目の商品になります。当ブログとしてはファーガソンTEA-20 「スー」に続く「冬季・着衣トラクター」の第2弾ですが、この2つしか製品が見当たらないので最終回です。
1/16 John Deere 720 Tractor w 80 Blade & 45 Loader, ERTL Precision #18
製品名では「ローダーとブレード」しか謳っていないものの、見てのとおり、冬季に必須な装備を全て搭載したかのような豪華バージョンです。

まぁ手放しに格好良いとは言いかねるスタイルですが、こういう「牧場で使われる冬季仕様のトラクター」という企画物は他に例が無く、ブツとしての存在感も異質なのでコレクション上では面白いアイテムかと思います。

また、写真ではイマイチかも知れませんが、この製品の最大の特徴である運転席を覆う防寒カバーには中を覗くとギッシリ詰まったディテールが見えてニンマリできるチラリズム(@浅香光代)の魅力があります。

ベースのノーマル仕様のJD720自体がプレシジョン・シリーズなので元来のディテールも豊富でして、その見せ場を惜しげもなく覆う贅沢さが嬉しいわけです。でもそれは所有して初めて分かる満足感なのでブログでは上手く伝えられません。

そのキャンバスカバーもエンジン横は別体なので紐をほどいて外せばエンジンのディテールを楽しむことが出来るようです。

後部から見ると、3点リンク回りや運転席の操作系のディテールに本物を観るような迫力を感じます(クリックして見て欲しい)。この手抜き無しの豊富なディテールにはオイル滲みに埃が溜まった感じの汚し塗装したくなりますねw

一方で、この出来の割に意外だったのですが、後部ドーザーブレードはピン等でヒッチに接続するのではなくフックを軽く引っかけるだけなので、持ち上げたり動かしたりするとすぐ外れてしまいます。同じようにフロントローダーのヘイフォークには除雪板(?)を差し込み式で付けられるのですが、これもユルユルでちっとも固定されません。これは遊ぶ玩具ではないぞ!という主張でしょうか。もっとも、一部キャンバスのステッチのラインに個体差があったりするので、単にいつものアーテルらしい「大らかさ」かも知れませんが(笑)

さて、ノーマルのJD720に付加される装備をまとめますと、:フロントローダー(ヘイフォーク)、:ヘイホークに差し込む除雪板、:リア・スノーブレード、:ウインドスクリーン付きの運転席キャンバスカバー、:エンジンサイドのキャンバスカバー、:リア・タイヤチェーン、:ホイール・ウエイト・・・

そのどれも単品売りや同様にセットされる商品のないスペシャル・パーツであった事が凄いですね。実車のジョンディア・オーナーやマニアの中には、特定のオプション目当てで部品取りに買った人もいるかも知れません。

この冬装備のメインと言えるキャンバスカバーには適度な厚みのある生地が使われ、布端も縫って処理してあります。個人的な感想ですが、後に出たUH「スー」の薄い切りっぱなし生地の接着処理と比べて好ましい仕上がりで、1/6フィギュア的な(表現はオーバースケールになるものの)素材感によるリアルさの追求は十分に成功していると思います。

その他にない自然なシワやたるみが、メカそのものといったトラクター・ミニカーのコレクションでは異質なリアリティと面白味を放つ逸品になっています。

(ノーマルの方が格好良いけれど物足りなく見えちゃう、という迷惑な面もありますが・・・)

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 私は以前購読していたクラッシック・トラクター雑誌(米)の広告で一目惚れし個人輸入しました。しかし入手してみると意外と大味な作りで、見本写真が良過ぎだったと分かって意気消沈(アーテルの広告写真にはよくヤラれます!)、以来、紹介することもなく、手の込んだ各種パッケージング材もそのままに仕舞っていました。

ところが数年の時間が経ち、前回、「スー」を撮ったついでに引っ張り出してみると、イヤイヤどうして、主観的なハードルが下がってしまっていた事もあって「当初の憧れどおり良い出来じゃないか!」と目をハート型にして思い直しました。

なお、発売されてから少し月日が経っているので、最近増えている国内のトラクター・ミニカー取扱店でも入手は難しいかと思います。いったい日本には何台あるでしょうかね・・・現在、アメリカではとくにプレミアは付いていない様子なので欲しい方は個人輸入してみる事をお勧めします。




●1/16トラクター関連
着衣トラクター2 ジョンディア 720
南極のトラクター ファーガソンTEA-20「SUE」
UH フォードソン F 1917 (旧ブログ)

ジョンディアBOリンデマン・クローラー

2012年3月19日月曜日

FIAT 500 A  トポリーノ (1/43)

トポリーノのミニカー4種についてはここ(ひとり言2009年)で書きました。その続きでもあります。
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FIAT 500A Topolino は難しい

昔、フィアット500A「トポリーノ」を1/35でスクラッチした事があります。
その時に、この魅力的な顔つきを演出するグリルやフロントフェンダーの形状を把握する事が非常に難しいことを痛感しました。
FIAT 500A Topolino
最近発掘されたスクラッチ制作トポリーノのフィルム写真(笑)
制作時、実車の写真を片っ端からコピーした物を壁に貼り付けて確認しながら作業したのですが、実車写真でも少し撮影距離や角度が変わるだけで雰囲気が違ってしまい、見れば見るほど、形状を直せば直すほど形が分からなくなる、そんな感覚に陥りました。

そして、その難しさを実証する様に、これまで模型化されたトポリーノには完璧と呼べるほどの物は無いと私は思います。

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ああ、ウットリ
トポリーノの新しいミニカーを入手しました。かつて、2009年に入手した物の青バージョンです。例に よって雑誌付録物と思われますが、今回はバキュームフォーム2枚で挟んだだけの簡単なパッケージなので、開けても元に戻せるのが嬉しいです(紙台紙に貼られたブリスターパックは困りますね)。

FIAT 500A Topolino
1/43 FIAT 500A Topolino ベースと背景が似すぎて境界がわからない(笑) 
さて、上記のように「完璧と呼べるほどの物は無い」のですが、そんな中、このモデルはとても好ましいスタイルだと思います。あえて他と比べるならば「傑出した美形」と言いたい程です。私の心の中のトポリーノはこうだ!という納得できるキュートさ、好き嫌いレベルで言わせてもらえば大好きであります!
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以前のグリーン版 台紙に接着したブリスターパックは困ります。
メーカー
以前は分からなかったのですがメーカーはNOREV(ノレブ)なのだそう。どうもNOREVは過去にトポリーノのフランス版であるシムカ5を出していたようですが、ネットで観るかぎり肝心の顔つきが大きく違うために、2009年の時点では他のメーカーだろうと思ってしまいました。どうやら律儀に作り直した様ですね。なお、シムカ5にはノーズを開けてエンジンを見せるギミックが有ったようですがコチラにはありません。


 トポリーノの色といえば、マルーンやクリーム、グリーンも渋くてよいね・・・といったイメージで、今回の、『写真では明るく見えるものの実際はかなり濃い紺色』はベストでは無いかも知れません。ただ、現在はebayのUK版に沢山出品されているので、ebayをやっていてこのトポリーノを安く入手したいなら今が狙い目かと思います。他に黒いミッレミリア出場車も有りますが、グリーンと同様に出品があまり無く、特別安くはない様子。

日本では
ミニカー事情には疎いのですが、検索する限り国内では普通には流通していないようです。かつてのブルムのようにウンザリするほど安易な色バリエーション出ても困りますが、 う~ん、何か一色でもよいので普通にお店で買えるたら嬉しいのにね。

2012年3月17日土曜日

ちょっと変わった駄菓子屋ミニカー

もう1月前になってしまいますが、機械好き友人Kさんから凄くレアなお土産を頂きました。

他人の褌ですが自慢しちゃいます。いつも私個人では気づかなかったであろう刺激物や話題を提供してくれて有り難うございます!

レッカー雪上車(?)
おお~何と当ブログ的な!なんだか妙なリアリティを感じる謎の装軌クレーン車です。側面には「8JARE」とモールドされていて、つまり南極観測隊の雪上車8号という設定ではあります。ただし、実際のJARE 8号車はKD20-2Tだし、レッカー車仕様はKC20-3Sベースの3号車なので特定の車種を再現している訳ではありません。 

もっともこんな野暮な考証する物ではないでしょう(笑)。実車云々より「8 JARE」のモールドの意義は、これの製造年代が南極ブームに湧いた昭和31年以降であると特定できる事にあります。


装軌トラクター
おお~何と当ブログ的な(2)!上と同じテイストの装軌トラクター。この種の装軌トラクターが見られたのは昭和20代から30年代がせいぜいで、それ以降はドーザーブレード無しでは子供は納得しないでしょう(笑)。これも特定の車種を再現した訳ではなさそうですが、運転席後部の、通常は燃料タンクの有る所が大きな箱になっているのが特徴的で、何かモデル(実車とかブリキ模型とが)がありそうな気もします。

逆に言うとココが宅配ピザ車っぽくて残念、これが小さければ色合いやグリルの雰囲気が「土の館」で観たNTK4型に似たスタイルで格好良かったんですけどね。


●以上、この2つの正体や具体的なデータは何も有りませんが、次のような印象を持ちました。

台紙に針金で縛り付けてある事から、昭和30年代の駄菓子屋クジの景品ではなかと思います。台紙を含まないブツ自体の全長は5センチほど、材質は薄いアンチモニー(?)で、金型は左右と下の3分割されています。そのボディ中央を走るパーティングラインには 所々太い所があり、これが湯口の跡ではないかと思います 。一瞬ブリキかと思うほど薄い肉厚なのは、原型を複製した無垢素材を直接削って下部の金型にしているからではないでしょうか。そうする事で複雑な入れ子無しで窓などの開口部が作られます。なんか工芸品的な趣があって素敵ですね。こんなの作ってみたいと思ったりして・・・



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イマイのオフロードトラック。


うむむ。これは先の2つとは違った脱力系(笑)

このシリーズの2種出たうちの1つアリス・チャルマースで、どこにも明記されていませんがマーキングから 一応「7045」をモデル化しているようです。

箱絵を見るとディフォルメがキツイものの当時のアリス・チャルマースらしい形はしていて、キットでもノーズとキャビンが一体のボディはなかなか雰囲気を捉えていたりします。アーテルの1/16ダイキャストモデルあたりを参考にしたのかもしれませんね(半分にすれば1/32ですし)。ただ、箱絵にあるようにキャビンの下部側面が一旦外に出っ張って絞り込まれる形は金型の抜きの都合で無視されています。

箱の表記や資料から1980年か81年頃に発売されたキットのようです。一応は雰囲気のあるディフォルメモデルという意味では1980年末に正式発売されたチョロQと同時期ですし、「1/32表記のモーターライズのディフォルメモデル」ながらタミヤのミニ四駆(1982年登場)の影響は全く受けていない所はポイント高いです

ところで、いかにもアメリカにありそうなお馬鹿ドラッグレーサー ですが、実際にこのマシンは存在したんでしょうかね?いや「実は出来の良いスケールモデルでした!」という可能性もゼロではありませんし、そうであればトラクター・スケールモデルという意味では大変な問題作という事になります(笑)


●もう一つ、フェアリー企画の1/150加藤の機関車も頂いたのですが、あのレジンは写真に撮ってもディテールが良く分からないので割愛致しました。すみません。