昨年、アメリカのオークション(ebay)で落札した中国製のブリキ玩具です。暇つぶしで見ていたのに思わぬ発見で衝動的に入札したパターン。
普段ウォッチしているわけではないので出品頻度や相場は全く分かりませんが、何となく想定していた半分くらいの価格で落札出来ました(※1)
●憧れの品
実はコレ、古い洋書で存在を知って以来、長い間憧れていた物でした(※2)
その洋書は、世界中のファーム・トイを白黒写真で淡々と紹介した厚い本で、当時は入手どころか実物を見る事すら不可能な農機アイテムが大量に載っていました。まさに労作という感じの資料です。
ただし「世界中のファーム・トイ」と言っても欧米のトラクター模型でほぼ占められていて、トラクター文化の圧倒的な差を思い知らされる内容でもありましたが、そんな中で異色を放つ東洋的な「耕耘機」模型が2つだけ載っていたのです。
一つは今や伝説的なプラモデル「サンワのホンダ耕耘機F190」
もう一つがこの中華製ブリキの耕耘機MS857
それは、数少ない「東アジア製」アイテムという事で夢がありました。『これなら欧米より入手が困難という事はないだろう、どこかの古い玩具屋で埃をかぶっているかもしれない・・・・こりゃお宝発見あるかもよ!!』と。
もちろん実際はそんな事は全然ありませんでしたが(笑)
CHINESE CLOCKWORK TRACTOR MS857 tin toy |
届いてみると箱の長辺が約17cmと想像より小さくてちょっと拍子抜けしました。どおりで想定してたより安いはずだと納得です(笑)
ブリキボディの一部分が箱と擦れて剥がれていました。これは遊んだ形跡ではないので私は気になりません。また、内部のゼンマイ機構が大きいのか一部ボディに膨らみが見られますが、これも味の一つと解釈します(笑)
ゼンマイは前車輪と緑のプーリーをガラガラ音を立てて回します。ただ、左車輪は触ってもゼンマイの抵抗がないのでフリーになっているようです。試しに少し走らせてみると旋回せず直進したのは意外でしたが、どうやら少女の足元にある補助輪の向き通りに進むようです。なるほど旋回させるなら1輪だけ駆動した方が良いですね。
●出来栄えは・・・
モデルとなった耕耘機の形や、ブリキをはじめ各パーツの材質と造形、ソフビの少女頭のティストは日本製なら1960年代以前の出来かと思います。
ですが、意外なことに1980年頃の製品なのだそう。
ええっ?と思いますが、なにせ例の資料本の発行年に近いのでこれに関してはデータは信用出来ると思います。
箱には「中国製造」と自慢気に書かれているので輸出を意識した商品かも知れませんが、この出来は作為的にレトロを演出したものではない気がします。
中国では最近まで(今も?)この種の日本式の耕耘機が使われていましたし、当時の工業製品としてもこんな物だったのだろうと思います。
爪を折り曲げて固定するブリキ、久しぶりに観たなぁ。 |
余談になりますが、9年ほど前、中国製の耕耘機のダイキャストモデルをアメリカ経由で2種入手しました。その2種は同じ物のバリエーションで、一つは鉄車輪の耕耘機、もうひとつはゴム車輪の運搬車つきのとても出来の良い物でしたが、しかし程なくして見かけなくなってしまいました。後になって同型のライターを見たので金型を改修してしまったのかもしれません。
という事で、今は一流ミニカーブランドの製品も一手に引き受けている国なので、技術は格段に向上しています。
おそらく、この手の古き良きテイストを持った耕耘機のブリキ玩具は二度と作られる事はないのでしょう。それは中国のみならず世界的に言える事かもしれません・・・。
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(※1):ebay
後で調べたら割と普通に出品されるみたいです。でも、値段は結構しててビックリ(*_*) 私は一応ラッキーだったようです。
(※2)古い洋書
1985年発行のInternational Directory of Model Farm Tractors. 購入は随分後ですが、ネットのない時代では特上の参考書で、今でも私のバイブルです。
「サンワのホンダ耕耘機」と「野村トーイのTB20」の2大お宝を知ったのもこの本ですし、イマイのキット(笑)まで網羅していたと言えば凄きでしょう。ただ、さすがに万代屋のブリキ耕耘機は有りませんでした。
恐ろしい事に、サンワのホンダとこの中国製の耕耘機模型に挟まれて掲載されていたのが1/16リモコン「ビッカース・ビゴー」でした。ビゴーの足回りは「サンダーバード」のプロップ(ジェットモグラ等)で汎用的に使われたので世界中のマニア垂涎の幻アイテムです。そのページを見たら、当時の私がこのブリキ耕耘機も良いものだと思ったのは無理はありません(笑)
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