久しぶりにミニチュアのお話を。
2017年も終わりに近づいて来ましたが、振り返ってみると今年は1/43スケールのトラクター模型ではランツの新製品ラッシュでした。といっても僅か3種類なのですが、過去に5種類程しかなかった事を思えば記録的ですし、どれも平凡ではない機種選定だったので大満足の内容でした。
この新作3種は何れもドイツ版アシェットの刊行物が由来ですので現在国内での入手は難しいのですが、同じものをIXOが単品販売しているので今後輸入される事を期待しましょう。
では新作3種、と以前に紹介していなかった1つ、更におまけの4種を再紹介。
2017年も終わりに近づいて来ましたが、振り返ってみると今年は1/43スケールのトラクター模型ではランツの新製品ラッシュでした。といっても僅か3種類なのですが、過去に5種類程しかなかった事を思えば記録的ですし、どれも平凡ではない機種選定だったので大満足の内容でした。
この新作3種は何れもドイツ版アシェットの刊行物が由来ですので現在国内での入手は難しいのですが、同じものをIXOが単品販売しているので今後輸入される事を期待しましょう。
では新作3種、と以前に紹介していなかった1つ、更におまけの4種を再紹介。
● LANZ HEERESZUGMASCHINE TYP LD 1916 1916年のランツ。1921年の焼玉単気筒「ブルドッグ」で知られる以前の貴重なランツです。 蒸気を内燃機に載せ替えたようなクラシカルなスタイルです。このLDは第一次大戦時に使用された「軍用輸送機械」で砲牽引車などに使われたようです。 元々ランツは蒸気機関トラクターを作っていたので、この様な巨大な内燃機関トラクターを作る事が出来たのでしょう。実車写真は少なく資料本でも多くは触れられず、このタイプのボディの実車も現存しているのか不明。 まさかこんなブルドック「前史時代」のモデルトラクターが出るとは夢にも思いませんでした。シリーズの今後も期待させる逸品です。当然ながら1/43モデル化されたランツとしては最古の機種でしょう。 |
●D 7506A ALLZWECK TRACTOR 1952 戦前の25馬力モデルの戦後生産型です。1945-52年の製造だそうですからこのモデルは最終年の型といなります。名物のGlühkopf(焼玉エンジン)搭載ランツとして好ましい印象のモデルです。 ランツの命名法は原則から外れた物が多く研究者泣かせですが、この頃はまだ守られていているようで「D 7506A ALLZWECK」を暗号解読しますと「農業用25馬力6段変速電装付き汎用」となり、「A」が付くのはこのタイプの簡易な屋根付き仕様といった感じでしょうか。ALLZWECKD(汎用、多目的)はこの様なスポーク式の細めタイヤを履いた仕様になるようです。 実はコレ、何故かロシア版アシェットの「ソビエト・ロシアのトラクター」にラインナップされてビックリしました(東側と関係ないと思うデス)。まぁ日本の「国産名車」シリーズに外車が混ざるのと同じ感覚ですかね。アニメの総集編みたいなスケジュール上の穴埋めかもしれません。後に実は本筋のドイツ版アシェットからも同じものが出ていたと知りました。 なお、洋雑誌付録物ではなくIXOのミニカー版が日本でも発売されないかなぁと思っています。比較的廉価なシリーズでありながらUHとシュコーの中間くらいの高品質で、ライトは透明部品、さらにドイツ車のシリーズなのでアイテムの魅力は十分、特にこのブルドッグの小さく凝縮された感じは良いです。 |
●D4016 1957 「最後のブルドッグ・モーター」搭載のランツ。Volldiesel(フル・ディーゼル)、つまりディーゼルエンジンのブルドッグで新開発の4222cm3 ディーゼルが使用された最初で最後の機種です。 ブルドッグ・モーターとは何かというと、巨大な横置き・水平・単気筒のエンジンの事で、最大の特徴であった焼玉機関を止めた後もランツ・ブルドッグを印象づける特殊なエンジンでした。 この当時のランツは既にオールドッグと小型モデルに一般的な縦置き直立エンジンが搭載されていて、「ブルドッグ」もいずれ普通のエンジンに代わる運命だったのでしょうがランツらしいデザインは維持していました。そしてこのD4016はかつての無骨さが戻りつつ有るような雰囲気を感じるので、この先のランツのデザイン変遷も見てみたかった気がします・・・ 1956年、ジョンディア(JD)が株式51パーセントを取得した事でランツ社はJD傘下になります。かつてはランツと同じく横置き水平シリンダー(ただし2気筒)を特徴としていたJDも既に平凡なデザインに変わっていました。そして1960年あたりから実質JDのドイツ工場になり、ブルドッグの面影のない「ジョンディア-ランツ」が作られたようです。 D4016は1957-60年の生産ですから全てJD傘下で販売された事になります。数少ないランツ製フル・ディーゼルでの最大馬力にして最後の機種となりました。 |
●Lanz D6006 「最大出力のブルドッグ」かつ最重量のランツ・ブルドッグ。 ランツがHalbdiesel(直訳すると半ディーゼル)と呼ぶエンジンを搭載、それは始動時にガソリンを使うタイプのディーゼルエンジンを指します。 ちなみに焼玉エンジンを英語でセミディーゼル(半ディーゼル)とも呼ぶのでこの辺りを注意しないと混乱します。本当に! こちらは新製品ではありませんが未紹介だったのでついでに。 上記フルディーゼルの4006と比べると古く感じるスタイルですが、生産は1955-62年で、2年早く始まり2年遅く終わったランツ最末期モデルという括りで良いかと思います。同時代のランツらしくジョンディア・グリーン版も登場します。 このSchuco製ミニチュアは結構以前に発売されたのですが、再生産されていないらしくJDグリーン版も含めて現時点では入手が難しくなっています。 出来はシュコーらしい素晴らしいもので、モールドが潰れがちなグリルをエッチングの穴あきメッシュで表現しているのは最高ですし、牽引具にコンビーフの巻き取り鍵みたいなのが刺さってるのは写真に撮って気づいたくらいです。ただ、スタイルにあまり魅力を感じない機種(みんなそう思う筈!)なのが残念ですかね。 |
以下は以前に紹介しましたがアップデートも兼ねて
先日、個人的にランツ・ブルドッグを好きになって25年目と気づきました。
当初は洋書でしか見られない伝説の妖怪のように思っていたのですが、ネットの普及で実車も模型も身近になったものですね。隔世の感があります。
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