名前はベネチュリエール・ムルティプレックス(って感じかな?)。
アシェット・コレクションズ社といえば日本でもお馴染みの「どっちがオマケか分からないミニカー付き雑誌」の雄ですが、これは本家フランスで09年4月に出版された「トラクターと世界の農業」80号の付録です。今現在は入手困難ですが、そのうちユニバーサル・ホビー名で単品発売されるかもしれません。私もジオラマ用にもう一台ほしいですね。期待してます。
(1954) |
このアシェットのシリーズ、付録の模型と雑誌は一緒に企画が進む筈ですが、なぜか紙面に同型車が載っていなくて困ることが多々有ります。ディアゴスティーニのロシアの自動車シリーズなんか資料写真沢山で大満足なんですがね・・・。これも当時は同型車を紙上でもネットでも見つけられず困っていましたが、最近になってようやく存在が確認出来たというマニアック(?)な型です。
という事で、ネットで分かったのは、グリルが横ルーバーになっているコレはA型らしく、搭載エンジンはルノー・ジュバキャトル用など複数あった様子(やっぱ農民車だw)。当然ながら各種パーツもルノーやシトロエンの流用品だらけらしい。
次のB型では大きな丸グリルになるのですが、バーナードw112という農発に合わせたっぽいデザインなので専用のエンジン設定なのかもしれません。B型は比較的写真も多くてデザインも多少オシャレです。「ミニカーにするにしても、なんでモールドの冴えないルーバーグリルのA型を選んだかなぁ・・・」と現物を見てシミジミ思うのでしたw
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1/43を見て
しかし現物を入手して見てみると、その太いパイプは荷台の前で終わってしまい、リアアクスルまでは伸びていないのでした(なんじゃこりゃー!)
荷台の前で鋼管が終わってる・・・ |
よく見るとパイプ後端に小さな出っ張りがありますが、これはスプラインシャフトなのでココから動力を取り出すようです。どうも車体後部にはPTOやヒッチといったトラクターの装備が無いので、ここら辺の仕組みがこの変な車の存在理由になるのでしょう。
実車は行司の軍配みたいな板の中にフックが収まっている |
しかし、横向きに付いたウインチなんて何する為にあるんだ?
最初は全然分からずイロイロ考えました。調べてもズバリという回答は見つけられなかったのですが、文の中に「ボジョレー」という単語が有ったので、それをキーワードに情報をつなぎ合わせてみると分かったような気がします。
◯フランス・ワインのブドウ産地には丘陵地帯が多くて急斜面も多いらしい。
◯現在でもトラクターが土を踏み固めるのを嫌い、馬か手作業を選ぶ農家もあるらしい。
◯急斜面では馬が使えず代わりに斜面上からワイヤーで農機具を引っ張って作業するらしい。
○丘の上に集材機を思わせるウインチを置いた写真を発見。
もともと使用している農機具は馬一頭で曳く畜力用なので、この小さな車体に装備したウインチでも問題なく引っ張れるでしょう。
YouTubeでフランスのブドウ畑の作業風景を探すと、ウインチを使った作業は現在も行われているようです。また50年代の写真で、ドイツ製トラクターの側面にウインチを付けてカルチ作業をしている写真も見つけました。かなりの急斜面です。
「ムルティプレックス」とは多用途車くらいの意味合いと思われ、移動や運搬にも使える自走式ウインチといったところかと思います。
・・・とか決めつけてますが、全然違ったらどうしよう (^_^;)
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余談
●私が入手した物は、クレCRC5-56の匂いのするワックス?でビチョビチョでした。 パッケージを開けた形跡はないので製造時からなのでしょう。経年変化など影響は分かりませんが、とくにタイヤにツヤがあり過ぎる場合はワックスが掛かっているかもしれません。
●以前紹介した農用ジープと同様に「トラクターちゃうんちゃう?」というネタですが、コレクション雑誌以外では絶対企画が通らないであろう珍品だし、こう見えてサスペンションの無いトラクター的な足回りなので問題ないのでありました。
●残念ながら、シャシーは鋼管バックボーンフレームではありませんでしたが、前と後で違う幅のラーダーフレームが使われているという、中央でぶった切った2台の車を切り貼りしたかのような構造には少し萌えました。
●実はこのミニチュアではクラッチやミッションがどうなってるかイマイチよく分かりません(爆)
●それにしても、この助手席・・・サスペンションのない車体にトラクターシート、足は車体から突き出た「棒」に乗せるだけ、掴まる所はシートくらいしかないという・・・そこは乗りたくないですね(笑)
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