「ムム。このタイプは見たこと有るような無いような・・・」
大原鉄工所 小型雪上車 SM15 |
「雪上車を積んだユニックが宿の前を通ったよ!その後、駅へ帰る途中に修理現場を目撃したよ!」とのこと(大意)。そして添付写真を見ると、まるでUMAのごとく微妙に見慣れない雪上車が写っているではないですか!ぬおー!
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実車確認
2日後、現場へ行きました。私が真っ先に思ったのは「げ!小さい!」。 以前見た同型車よりも感覚的に小さい気がしました。変ですね、ユニックの荷台上で情け無さそうにしてる姿がそう見せたのでしょうか(笑)傍らではゴムキャタピラの修理中でした。
観察するとゴムベルト自体は長い一枚物ですが、一つ一つ穴を開けて、センターガイドでもあるゲタ山金具(なんて言うの?)をボルト止めしています。凄く面倒な代物ですが、手間さえ掛ければ手作業で修理出来る方式ではあるなぁと感心です。
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こいつの正体
さて、既にネタバレしているようにコレは大原のSM15とみて間違いないでしょう。ボンネットからフロントにかけてのカマボコ的な丸みが特徴的です。現在では当たり前となったゴムキャタピラ+ゴムタイヤの組み合わせになった最初の国産雪上車であり、後のSM20、SM30へと繋がるスノータイガー・シリーズの始祖という事で記憶しておきたいモデルです。ただし、SM15なのは良いとしても私が気になったのは、過去に見たSM15とは明らかに違うグリル形状です。簡単に言うと普通は少々装飾的な「枠」の付いた金網グリルなのですが、コチラではジープのプレスグリル的なスリット処理なので面構えが大きく異なります。
この他で気になったのはミラー、通常のSM15は昔の車のフェンダーミラーみたいな位置に小さな物が付いていました・・・と思ったものの、実はこれ、よく見るとブラスチックで新しげです。どうも支柱ごと後付けしたみたいで、写真を確認するとちゃんと本来の取り付け位置にボルト穴が2つ開いてました(笑)
という事なので、棒バンパーもオリジナルかどうか怪しいので重視はしない方が良さそうですね。なお、青味がかったグレーは後塗りで、その下は黄色のようです。元は開発局あたりでしょうか。
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実は、SM15の試作1号車は国内でテストされた翌年の昭和43年、第9次南極観測隊によって南極に持ち込まれています。後部の丸いボディが特徴で、これの写真は大変希少と思っていました。
ところが、前回のエントリーで南極の雪上車の画像を検索していると、なんと!この1台キリの試作車が2008年初頭まで東オングル島にスクラップとして現存していたというでは無いですか!
そして写真、グアアッ!グリルがジープ風だ!
これはつまり、今回のはSM15でもかなり初期のモデルと見て間違いない?
(実はガソリン仕様の約2年で14両の生産でも、SM15GとSM15GTがあります。GTは後部が荷台のトラック仕様かもしれないけれど不明)
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ジープなグリルこの車種から採用される事になったゴムタイヤとゴムキャタピラの新しい足回りは、大原は当初ジープの改造車両で実験を重ねています。そして試作型SM10とSM15が作られ、量産型SM15へと繋がりました。
もしかすると設計者は雪上ジープ的なイメージを最後までが持っていたのかも知れませんね。
面白いのは、今回見つけた初期量産型のグリル穴は8本で、試作型が6本である事。
これはジープの意匠登録とされる7本を避けたものでしょう。
◆関連エントリー
○大原鉄工所 小型雪上車 SM15
●南極の雪上車 SM25S
●南極の雪上車 KD20-2T
◆◆◆◆◆◆◆◆後日追記◆◆◆◆◆◆◆◆
●記事中にある、以前見た個体の写真が出てきました。
問題のグリル、よく見るとグリルガードを外に追加しているだけにも見えますが、その奥にスリットグリルはないのでデザイン変更したものと思います。
屋根は平らな一枚物を「載せた」処理になっています。その結果、 ワイパー付け根=雨ドイから上の高さがあり、後部も同様に変わっているのでキャビン形状が角ばって単純に見えます。
バンパー、ミラーはコチラが本来の形と思われます。
色は全塗装して間もないようでオリジナルではありません。
2017年追記
新たに見つけた緑の個体。初期CJジープのように右側面にスペアタイヤが付いています。後期型ボディですが屋根の処理が若干違うのでこの後に手直しが入ったようです。また、後部両サイドの窓が妙に上に長いのもこの時期の特徴なのでしょう。
銘板を読むことができましたが、SM15Gの昭和46年11月製なので上記本文が間違っていた事になります。製造番号も資料より少々オーバー。別途プレートで開発局の車体ナンバーも記されているので開発局に納入した車両で間違いないでしょう。
さてコレは・・・、参照資料が間違っていたか私が読み間違えたか、お得意様の注文でちょいとエンジンだけ替えてみたので員数外として忘れられたとか。う~ん、分からない。分からないから面白い!(いいのかそれで)
2019年追記!
ヤフオクより引用 |
驚くことに、ジープ風グリル、若干丸みのある屋根、側面と後面の小さい窓、棒状のバンパーという初期型の特徴を持っています!
つまり、この「45年製造」の初期型の翌年に、上記の緑の後期型「46年製造」が造られているという事になります。
昭和45~46年の冬シーズンまでは初期型で、オフシーズン(春夏)に各部の設計変更を行い、同46年秋から後期型を生産したと見て良さそうです。
サンプル数が少ない中、今回は「初期型の最後期」で、前回は「後期型の最初期」だと分かる2個体を知れてモデルチェンジの年が分かりました。量産初期型は3年間の生産だったようです。
7 件のコメント:
前日。下の記事コメしてたら突然の新記事アップ。
コメ消滅。( ̄▽ ̄;)あははは
実は三度目のコメ投稿。何だか上手くいかないのネ。
子供の頃から南極観測船ふじ好き。最近、プラモの復刻版が…。当然買いましたヨ。
昔と違ってハル部分の塗装は無いのネ。
でも大丈夫。(^^)d
製作技術の腕も道具も上がってるからネ。ま、視力は。(T_T)
な訳で、同スケール雪上車の自作の参考にさせていただきます。
m(_''_)m
わわ!キムタクのドラマ「南極大陸」にも初期っぽいコイツが出ていたのか・・・地デジ化してないから知らなかった(爆)
こっぺるさん
ニチモのふじっていつも欲しい物ランクには入ってたのに、もっと欲しい物が常にあって買ったことなかったなぁ(笑)
最近の、1/350宗谷と1/700しらせの限定メタル雪上車付きバージョンは欲しかったけれど、オマケ目当てで買うには高すぎましたし(笑)
歴代観測船が1/700(プラキット)で揃って、雪上車セットなんて出る日が来ないですかね(笑)
http://polaris.nipr.ac.jp/~academy/jiten/kiti/03.html
観測隊雪上車5種の簡単な四面図が↑にあります。
コメント消えましたか。申し訳ありません。過去記事もちょこちょこ書き直したりしてたから時間が重なったのかもしれません。
備忘録として。
キムタクの「南極大陸」は2011年、TBS開局60周年記念の大作ドラマ。視聴率が低かったとか、ザ・キムタクがそのまんま出てきたとかアレな話題の先行した作品でしたね。SM15のシーンは北海道ロケ(たしか根室)で撮影されたらしいです。
1980年公開のカドカワ映画「復活の日」も大作として大宣伝されましたね。コレにもここで言う初期型SM15が出ていました。巨費をかけた南極撮影が行われましたが、雪上車シーンのは北海道で撮られた様です。TBSも制作に加わってる等「南極大陸」との共通点がありますが、公開年で31年の差があります。同じ個体だったら素敵やんと思いますが・・・。
ご無沙汰しております。
先日、道北にて件のSM15に遭遇しております。
ディーゼルのSM15D、昭和47年式です。
ドラマに出た時の姿で健在でした。
おけささん
どうもどうも。今回も超魅力的な情報ありがとうございます。
以前のコマツ見てきました。良かったです。
ポルシェの所も行きましたが流石に現物は見れず、また通る時に期待。
ドラマという事は、キムタク南極大陸の奴ですね。
グリル形状はどうでしたでしょうか?
キャビン形状がここで(勝手に)言っている初期型なので
47年式と意外と後のモデルで驚いてます。
これもサンプルが出てくるたびに認識を新たにする希少車のようです。
面白い!
グリルはいわゆるジープ風、スリットは8本です。
エンジンフードの留め金が生えてましたね。
車体はアルミ製でした。
冬になると犬ぞりレースのコース整備や、近所の散歩に使ってるそうです。
おけささん
えっ!新事実。
という事は、アルミに代わった当初はボディ形状は初期のままと見て良いですね。
新旧同じに見えるところでもリベットの数が違ったりするので、作ってみて強度とか生産性の問題とか考慮して変更していった感じかな。手作りのような生産数ですから個体差があるんでしょうね。
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