ファーガソンTEA-20 SUE ユニバーサルホビー |
人類初のエベレスト登頂を成功させた冒険家、サー・エドモンド・ヒラリーが南極で使用したトラクター「SUE」。
ヒラリーはエベレスト登頂から僅か4年半後、イギリス連邦・南極大陸横断調査隊にニュージーランド隊の隊長として参加、本隊への補給等を担当する支援隊でありながら3台のファーガソンTEA-20でトラクターによる南極点初到達を記録しました(1958年1月3日)。これは今から100年も前の、あのアムンゼン隊とスコット隊に次ぐ、46年もの間の開いた3番目の陸路による南極点到達でもありました。
ちなみに、悲劇のスコット隊は、謎の1911(明治44!)年製装軌雪上車が使い物にならなかった事が誤算の始まりですし、1914年発のシャクルトンの大英帝国南極横断探検隊は鉄車輪トラクターを積んでいたものの座礁と1年8カ月の漂流で上陸出来ずに終わり、つまり、このヒラリー支援隊はトラクターどころか乗用機械による初到達と言う事にもなります。
それについてヒラリー曰わく 「ファーガソンは、1250マイル(2000km)にも及ぶ、氷、雪、クレバス、柔らかな新雪およびブリザードの中を、南極点到達の最初の乗り物になるよう私たちを仕向けました」。
この粗末な覆いしかないオープントップのトラクターで南極を2000kmも走行とは我々の想像を絶する冒険ですが、ヒラリーにしてみればエベレスト登頂の過酷さと比べれば随分マシだったようです。
なお、ヒラリーに「出し抜かれ」てしまった本隊のフックス隊はというと、目的である史上初の大陸横断を3月に完成するのですが、その途中、南極点到達はヒラリーより16日遅れ(1月19日)で記録しています。こちらが使用したのはアメリカ製の雪上車タッカー・スノーキャットでした。
それにしても何故だ!この偉業まるで知られていないではないか!と思ってしまいますが・・・
実は、この年の南極といえば、日本では全く違うストーリーが語られます。翌2月、日本の第2次観測隊は悪天候で昭和基地に辿り着けず、この年の越冬隊は不成立、第1次越冬隊員を収容する事は出来たもののタロ・ジロたちカラフト犬15頭を昭和基地に置いて帰っているのでした。 ※この当時の日本の雪上車KD20-2Tについて
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ユニバーサルホビー1/16
ファギー(ファーガソン)のスーちゃん、さすがに実車が3台とも現存しているようで、いくつかの画像をネットで観ることが出来ます。 実際は5台が南極に持ち込まれたらしく展示車には未到達車も混ざっているようですが、それら現存車や記録写真をみると、防寒カバーの掛け方やライトの有無などがその時々で変容している事がわかります。南極到達時の記念車写真ではヒラリー車はライト1個で、他の2台はライトなしだったりしますから、モデルは新品のプレーンな状態を再現した物という事でしょう。
色については違和感がありました。1958年という時期は、既に新型のファーガソンFE-35が出ていて、マッセイ・ハリスと合併しているものの色はまだ赤くない微妙な頃のはずです(このあたりは旧ブログに書きました)
・・・と書いていたのですが、この事に触れた記事を見つけました。ヒラリー隊のファギーは雪中で目立つように特別に赤く塗られた物だったそうで、すぐ後にメーカー生産車が赤に変わった事とは別案件だったようです。なお、実車はボンネット横にFergusonと黄色く書かれていますが、このミニチュアでは何故か再現されていません。
このユニバーサル・ホビーからは当然ノーマルのTE-20も出ていますが、これと比べるとスーは「ファーガソンシステム」油圧3点リンクが実車同様に省かれたくらいで、あとはカスタム装備を山盛りにしたような充実の内容になっています。元々シンプルすぎて買う気にならないトラクター(笑)ですから、これだけパーツが増えて同じ値段なのは非常にお買い得な感じがあります。ただし、ゴムキャタピラが細くてフニャフニャなので将来の材質劣化がとても心配ではありますが・・・。
なお、この6輪フルトラックの足回りは必ずしも南極スペシャルではなく通常のオプション装備として市販されていた様で、後4輪にだけキャタピラを巻いた「ハーフトラック」仕様が当時の日本版カタログ(チラシ)に載っています。ニコイチで作れなくもない・・・っとまぁ、そういったタイプも含めて(値段的に買える)1/43サイズでのバリエーション展開を期待したいものです。
あと、このモデルは写真で見るとライトの中が黒くて変に見えるのですが、実際に見ると中に二重にライトが入っている構造らしいので(つまり中のライトが黒い外装)、構造を知るとそう変でもありません。 画像を拡大して見るとわかるのですが。
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写真 このミニチュアは半年以上前に発売されていて少し後に買いました。ただ、ネットで画像を検索すると、みんなタミヤのMMみたいに背景がないメーカー写真で、それはつまらないので雪景色になってから写真を撮ろうと考えていました。
が、イザやるとなると大変で(笑)。冬は駐車できる場所が極端に減り、とくに景色の良い郊外では絶望的です。日照時間も少なく、天気も良く変わります。撮った写真を見たら30分ほどで背景が青空から寒々しい曇り空に変わっていました(まるでスターウォーズ/帝国の逆襲のAT-ATのシーンだw)。
ラッキーな事に郊外の公園に、歩くスキー用でしょうか、スノーモービルが板を牽いて整地したばかりの道があったので、重い1/16でも埋まらない程度のフラットな雪面で撮る事ができました。
雪にまみれになりながら膝をついてオモチャを撮ってるオッサン・・・通行人にジロジロ見られましたが、「近づくな!雪面に足跡を付けられたかなわない!」という空気は出せていたと思います(笑)
●1/16トラクター関連
着衣トラクター2 ジョンディア 720
南極のトラクター ファーガソンTEA-20「SUE」
UH フォードソン F 1917 (旧ブログ)
●ファーガソン関連1/16 南極のファーガソンTEA-20 SUE
農機ミニチュアのショップ!(1/43 ファーガソンFE-35 TEA-20 旧ブログ)
突然ですが・・・。 マッセイ・ファーガソン 35(旧ブログ)
●他・実車関連
南極の雪上車 KD20-2T
8 件のコメント:
画像はあったのに記事がないと思っていましたが、やっとUPされましたネ。
気になるのが中間タイヤの取り付け方。腹の画像もいずれで構いませんのでUP宜しく。m(_''_)m
一次戦でタンクと言うか無限軌道が出来たと思っていたのですが、大分前からあった事に驚き。
ミニチュアモデルのゴム部分の経年変化は気になっていました。走らせる訳ではないので、金属やプラでもいいと考えていたので…。
さーて、新しい画像は…。予告編は無いみたいですネ。(笑)
画像が先に見えてマヌケなブログですなw
中の車輪はリアアクスルから棒が延びるだけの簡単な構造なんです。キャタピラを短くすればハーフトラックに出来るしパワクロなんかいらない!(笑)イセキのTBにも同様のが有りました。同じキャタピラだったりして。
1911年製造と思われる謎の雪上車の写真がありました。転輪がない!
http://bit.ly/ywCpqk
http://bit.ly/x1p9S8
ブリキ時代のゴムキャタピラはほぼ全滅でしょうが、10年経ってない1/144WTMの赤外線リモコン戦車もゴムも砕けました(涙)。なお、コレを撮ったオリンパスのED14-54mmはお勧めレンズですがズームリングのゴムが延びて浮いてます(笑)
ニコンのAi35mmF1.4のピントリングのゴムは割れました。
E-520のセットレンズ使ってないなぁ。プラマウントの梅レンズ。標準系はペンタの防水コンデジに任せちゃってますんで。
それにしても、竹ランクのレンズがそんなことになるとは…。
フォーサーズは、シグマの105mmマクロと、元はシグマの70~300のお手軽ネーチャーセット。( ̄▽ ̄;)はは
E-5でも手に入れられたら、お勧め防塵防滴竹レンズを手に入れましょう。(笑)
ああ!そういえばE-510のグリップラバーもパカッと浮いたっけ(笑)
竹クラスは色乗りや明るさが違ってファインダー覗くと少しカメラが性能アップした感じですよ。私も70-300で良く鳥を撮ったんですが色が薄いですよね。イスカのオレンジが出ない・・のはE-510のせいもあったか(笑)
竹の400とか出せばEシリーズは鳥の人の定番になったかも知れないのに・・・2月ウワサのOM-Dがダメならオリへの拘りはやめようと思ってます。
岩本久則著の本にも、ぷらぷら歩いての野鳥撮影には、最低800ミリとか載ってました。
竹で400ミリF4.5位のがあれば。と思ってました。300ミリF4×1.4でも可。(笑)
シグマの135~400は中古でも高い。
どうもオリのOM-Dは、パナの一眼風なんでしょうネ。ま、単焦点レンズを増やしてゆくとかの話もあるので、見守るしかないでしょう。
ほんと最低で800mmいりますね。それでもトリミング必至ですが。
OM-Dが1600万画素で高感度も良いとの噂、手ぶれ補正も良いとか。うーむ、なら絞れるしファインディテール処理だし、70-300+トリミングの画質が飛躍的に良くなるかもと気になり出しました(^^;;
ちょっと繋がらない話ですが…。ま、トラクター繋がりといえば言えるか?
自分でも探してはみたのですが、タミヤの「アメリカ海軍航空隊パイロット・モトタグセット」を手に入れたのですが(今頃かよ!)、モトタグの元が何だか分かりません。
ボンネットと45馬力エンジンはノーマルだろうと、そこを頼りにググりまくったのですが、何か情報ってありませんかネ。
あ、分からないと死んじゃう訳ではないので、さらっと受け流していただいても結構です。
いやいや、モトタグはむしろバッチりな話です。
あのモトタグはフォード「BNO-40」だと思うのですが、それだとベースは一応フォード9Nと思われます。
このあたりの戦時中フォードは「Ford Ferguson」と呼ばれる同じ様な形をしておりまして、私は「あのつまらないフォード・ファーガソンの類」とひとまとめで愛でています(笑)
戦後しばらくしてフォードとファーガソンが喧嘩別れして出来た初のファーガソン車がTE(A)-20です。この雪上車とあの飛行機牽引車のルーツは同じ、実は歳の離れた兄弟みたいなものなんですね。
ただ、エンジンが45馬力だとしたら9Nの2倍近いので中身は別物と言って良いのかもしれません。
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