「ムム。このタイプは見たこと有るような無いような・・・」
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大原鉄工所 小型雪上車 SM15 |
今年の10月、北海道旅行中の機械好きの友人からメールが届きました。
「雪上車を積んだユニックが宿の前を通ったよ!その後、駅へ帰る途中に修理現場を目撃したよ!」とのこと(大意)。そして添付写真を見ると、まるでUMAのごとく微妙に見慣れない雪上車が写っているではないですか!ぬおー!
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実車確認
2日後、現場へ行きました。私が真っ先に思ったのは「げ!小さい!」。 以前見た同型車よりも感覚的に小さい気がしました。変ですね、ユニックの荷台上で情け無さそうにしてる姿がそう見せたのでしょうか(笑)
傍らではゴムキャタピラの修理中でした。
観察するとゴムベルト自体は長い一枚物ですが、一つ一つ穴を開けて、センターガイドでもあるゲタ山金具(なんて言うの?)をボルト止めしています。凄く面倒な代物ですが、手間さえ掛ければ手作業で修理出来る方式ではあるなぁと感心です。
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こいつの正体
さて、既にネタバレしているようにコレは大原のSM15とみて間違いないでしょう。ボンネットからフロントにかけてのカマボコ的な丸みが特徴的です。現在では当たり前となった
ゴムキャタピラ+ゴムタイヤの組み合わせになった最初の国産雪上車であり、後のSM20、SM30へと繋がるスノータイガー・シリーズの始祖という事で記憶しておきたいモデルです。
ただし、SM15なのは良いとしても私が気になったのは、過去に見たSM15とは
明らかに違うグリル形状です。簡単に言うと普通は少々装飾的な「枠」の付いた金網グリルなのですが、コチラではジープのプレスグリル的なスリット処理なので面構えが大きく異なります。
この他で気になったのはミラー、通常のSM15は昔の車のフェンダーミラーみたいな位置に小さな物が付いていました・・・と思ったものの、実はこれ、よく見るとブラスチックで新しげです。どうも支柱ごと後付けしたみたいで、写真を確認するとちゃんと本来の取り付け位置にボルト穴が2つ開いてました(笑)
という事なので、棒バンパーもオリジナルかどうか怪しいので重視はしない方が良さそうですね。なお、青味がかったグレーは後塗りで、その下は黄色のようです。元は開発局あたりでしょうか。
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試作型との類似・・・
実は、SM15の試作1号車は国内でテストされた翌年の昭和43年、第9次南極観測隊によって南極に持ち込まれています。後部の丸いボディが特徴で、これの写真は大変希少と思っていました。
ところが、
前回のエントリーで南極の雪上車の画像を検索していると、なんと!この1台キリの試作車が
2008年初頭まで東オングル島にスクラップとして現存していたというでは無いですか!
そして写真、グアアッ!
グリルがジープ風だ!
そのグリルの他にも、屋根の先端がなだらかにウインドウに繋がる造形や、ボディ全体がサビて鉄板製である所が今回の車両と類似していて、これまで見た量産型SM15とは異なっています。
これはつまり、今回のはSM15でもかなり初期のモデルと見て間違いない?
SM15は、昭和42年(量産は43年?)からガソリンと、ディーゼルの2本立てで作られましたが、ガソリン仕様は44年まで(僅か14両)、ディーゼル仕様は51年まで(139両)で生産を終えたようです。もし中でも極初期の型であるならば14台のガソリン仕様の可能性も有りますね。
(実はガソリン仕様の約2年で14両の生産でも、SM15GとSM15GTがあります。GTは後部が荷台のトラック仕様かもしれないけれど不明)
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ジープなグリル
この車種から採用される事になったゴムタイヤとゴムキャタピラの新しい足回りは、大原は当初ジープの改造車両で実験を重ねています。そして試作型SM10とSM15が作られ、量産型SM15へと繋がりました。
もしかすると設計者は雪上ジープ的なイメージを最後までが持っていたのかも知れませんね。
面白いのは、今回見つけた初期量産型のグリル穴は8本で、試作型が6本である事。
これはジープの意匠登録とされる7本を避けたものでしょう。
◆関連エントリー
○大原鉄工所 小型雪上車 SM15
●南極の雪上車 SM25S
●南極の雪上車 KD20-2T
◆◆◆◆◆◆◆◆後日追記◆◆◆◆◆◆◆◆
●記事中にある、以前見た個体の写真が出てきました。
問題のグリル、よく見るとグリルガードを外に追加しているだけにも見えますが、その奥にスリットグリルはないのでデザイン変更したものと思います。
屋根は平らな一枚物を「載せた」処理になっています。その結果、 ワイパー付け根=雨ドイから上の高さがあり、後部も同様に変わっているのでキャビン形状が角ばって単純に見えます。
バンパー、ミラーはコチラが本来の形と思われます。
色は全塗装して間もないようでオリジナルではありません。
2017年追記
新たに見つけた緑の個体。初期CJジープのように右側面にスペアタイヤが付いています。後期型ボディですが屋根の処理が若干違うのでこの後に手直しが入ったようです。また、後部両サイドの窓が妙に上に長いのもこの時期の特徴なのでしょう。
銘板を読むことができましたが、SM15Gの昭和46年11月製なので上記本文が間違っていた事になります。製造番号も資料より少々オーバー。別途プレートで開発局の車体ナンバーも記されているので開発局に納入した車両で間違いないでしょう。
さてコレは・・・、参照資料が間違っていたか私が読み間違えたか、お得意様の注文でちょいとエンジンだけ替えてみたので員数外として忘れられたとか。う~ん、分からない。分からないから面白い!(いいのかそれで)
2019年追記!
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ヤフオクより引用 |
なんと!昭和45年10月生産のSM15Dがヤフオクに出ていました!
驚くことに、ジープ風グリル、若干丸みのある屋根、側面と後面の小さい窓、棒状のバンパーという初期型の特徴を持っています!
つまり、この「45年製造」の初期型の翌年に、上記の緑の後期型「46年製造」が造られているという事になります。
昭和45~46年の冬シーズンまでは初期型で、オフシーズン(春夏)に各部の設計変更を行い、同46年秋から後期型を生産したと見て良さそうです。
サンプル数が少ない中、今回は「初期型の最後期」で、前回は「後期型の最初期」だと分かる2個体を知れてモデルチェンジの年が分かりました。量産初期型は3年間の生産だったようです。