2013年12月27日金曜日

小さすぎるポルシェ型 【ヰセキTR-1】

ずっとコレを観たかった!やっと巡り会えたぜ井関農機TR-1!

見ての通りポルシェやヰセキTBシリーズの子分にあたる最小モデルで、まるで手作りの一品物のようなマスコット風味です。超カワイイ!

ISEKI TR-1 汎用エンジンとベルト駆動の「乗用耕耘機」
まぁ実際に見ると流石に無理があって微妙なバランスの部分がありますが、それだってマニア的には萌えポイント、ぶっちゃけカウルだけ似せている気もするけれど、基本的にはヰセキTBシリーズの特徴的なデザインを見事に踏襲しています。

(TB…かつて井関農機はポルシェ・ディーゼル社製の3つの大型モデルを輸入販売しつつ日本の国情に合った小型モデルをポルシェと技術提携して開発しました。それがポルシェのデザインを持つTBシリーズです。時期的には1963年にドイツ本国のポルシェ・ディーゼルがトラクター生産を終了する前後にポルシェの輸入(1962 ~66年)とTBの生産を始めているよう《←今回初めて気づいて混乱中です!》。ポルシェ輸入終了後にチェコのゼトアを輸入販売するのですが、その時期にもTB17と23、そしてTR-1Sがポルシェ同様のデザインのまま数年販売されていたようです。)

ISEKI TR-1 イセキ 乗用耕耘機

斜め後ろから見ると特にイイネ!カウル後部も見事な造形。本当は前輪の車軸をもうすこし前にして大きなタイヤにすれば更に格好良くなったでしょうけれどね。

TBシリーズで最も大きくてポピュラーなTB-20(と23)は完成形と言いたくなる程バランス良いスタイルですが、TB-17>TB-15>TR-1と、小さいモデルになるほどプロポーションが崩れる感じが面白く愛しいです。


後部。乗用耕耘機タイプはロータリーとワンセットが普通なので、こうして車体後部が見れるとちょっと嬉しいですね(?) 一瞬PTOはどこだ?と思ったけれど横向きにスプラインシャフトが出ていました。中身は全部横軸のギアトレーンなのでしょう。どこも色が剥がれていないのでオールペンしてからは働いてないようです。


TR-1 イセキ 乗用耕耘機
TBシリーズと最も異なって見えるエンジン右側。始動ハンドル付きのフライホイールが目立っています。よく考えるとこの方式は古典的な農発そのもので、何か古臭いような新鮮なような不思議な気がしました。ここの奥の方には始動が困難の時にはガソリンを使うよう指示するラベルがありました。ちなみに水冷4ストの灯油エンジンです。


この外観をした農用発動機は複数サイズが有るのですが、TR-1は最大14psモデルなのでヰセキG10Aからライトを取り除いた物なのでしょう。
下の写真がそのG10Aで、824cc 最大出力14ps 常用出力10ps/2000rpm 117kg 細部のディテールも一致しています。
iseki g10a
なお、この農発は三菱「かつら」系のOEM製品らしく見た目もカタログデータも三菱K10と同じです。
(後日追記、下画像)三菱かつらエンジンK10Aを見つけました。三菱重工業製、赤い外装パネル部分の造形がG10Aと少し違いますが機能部品は同一と想像します。
mitsubishi k10a

…という事でこのK10を積む14ps乗用耕耘機「ミツビシR105」と「ヰセキTR-1」は同クラスの兄弟のような存在なのですね。車載型はフライホイール外縁に巻き込み防止用と思われるガードが付くのも同じです。

ちなみに、ミツビシ、サトー、スズエあたりが同系エンジンの2輪や4輪の耕耘機を販売していて、中には車体丸ごと同じ型かもしれない機種も見受けられます。しかし、このTR-1の場合はエンジンの供給を受けただけで車体はヰセキで作った筈です。

ヰセキ TR-1


う~ん。やっぱりこの完璧なミニチュア版カウルの出来に惚れ惚れしてしまいますね。

ポルシェとTBの全モデルは強制空冷式エンジンですが、水冷のTR-1では冷却器がエンジン後部の横向きに装備されるのでグリルは全く必要ありません。

つまりデザインだけのダミーグリルなのです。

いや、それどころか、元々このエンジンはライト付きの農発なので、グリルだけではなくカウル自体が邪魔なくらいです。しかしヰセキはわざわざコストを掛けてポルシェ譲りのデザインを踏襲し、商品展開の上から下まで統一デザインで揃えたようです。

日本企業がCI (コーポレート・アイデンティティ)をブームのように取り入れる遥か以前に、トラクター界ではこんな物が存在したんだなぁとシミジミ思ってしまいます。とある大自動車メーカーなど今だに他社のデザインをつまみ食いしているイメージがあるのですがね・・・

まぁ、とにかく素敵な農機で、またどこかで見かけたらじっくり観察したいものです。

◆初期のトラクターとは違い60年代中期の乗用耕耘機なので全国レベルでの現存数は多いのかもしれません。
◆場所は旭川 ホクレン油機サービス」さん。←クリックでグーグル・ストリート上で存在を確認できます。(追記)無くなりました。

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さて、新しい事が分かれば追記するとして、いくつかを備忘録的に。

 【TR-1】
Tractor & Construction Plant Wiki さんから。
ここは古くからウチ以外に検索ヒットする唯一のページでした。

てっきりライトの位置が欧州っぽくて海外仕様かと思っていましたが、今回の個体はズバリこの形でしたね。
ここのデータでは馬力15hp=11kw。 
 カウル横のデカール文字「ISEKI TR-1」は斜体のように見えるので、そこが今回の発見車両との唯一の違いといえるかも知れません(発見車はオールペンながらもデカール部分は塗り残してありました) 。今回の車体製造ナンバーが500番台だったのでこのタイプが比較的初期としても納得です。

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【TR-1S】
 一方コチラは9年前にウチのHPで「孫ポルシェ」として少し触れた時の画像。TR-1に「S」というサブタイプ名が付いています。
 
ヘッドライトの位置が「本来あるべき場所」にあるので非常に格好良く、エンジン吸気口もポルシェやTBに倣ったのか外に出ています。搭載エンジンの名は「G10T」ですが元々そうだったか変更があったかは勉強不足につき不明。

 作業機だけだった菱型3個の「ヰ・セ・キ」マークが本体側面にも使われ同時期のゼトアTB-17やTB-23と同様になりました。

 当初はコチラのほうがミニチュア的再現度が高い上に、このライトの位置だとベルト作業の邪魔になるので「対策前」の初期のモデルなのかと思っていました。

 この時期のミニカタログにはTR-1S、TR-1L、TR-1LDの3タイプが記載されていますが、この時点で素の「TR-1」が無いので後継モデルの位置づけなのだと思います。

イセキ TR-1(S)の続報


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ぐぬぬ・・・TR-1L
【TR-1L】
 かかか…格好わるいいいい!!

あの惚れ惚れするTB譲りのカウル「だけ」を無くしたような型・・・でも他社ではこれが普通なんですよね。「性能が全て」の世界とは言えやっぱりエンジンをただ積むだけではつまらないと思うのです。

TR-1Lは「一般農用エンジン」を別途用意するモデルですので、当然カウルを諦めなければなりませんでした。エンジンまわり以外は同時期のTR-1Sと同じと思われます。

この画像は販売末期に近いと思われる1968年頃のTR-1L単体のカタログの物で、他の2バリエーション、TR-1S(水冷灯油)、1LD(空冷ディーゼル)は存在していたかもしれませんがリスト等は載っていませんでした。

なお、TR-1LDではKD1100Sエンジンが搭載されるのですが、この写真のエンジンがKD1100そのものかもしれません。この車体とエンジンとセットで買えばTR-1LD仕様になるので途中から設定しなくなったのかもしれません。

関連リンク

イセキ TR-1(S)についての続き

2013年9月28日土曜日

走る!三菱トラクター R301

今年も去る9月4日に琴似神社例祭へ行って参りました。

◆琴似神社のお祭りは
神社の敷地ではなく町内のメイン通りに露店が並ぶので、普段ここを通る地元民は選択の余地なく遭遇する年中行事です。これまで私的には歩道が屋台と見物人で混雑するので、わざわざ出向くイベントではありませんでした(不謹慎ですみません)・・・が、昨年コマツWD50に出会えてまるっきり認識を改めました。今では行きたい町内行事No.1です。

昨年のコマツWD50のエントリー

MITSUBISHI R310 TRACTOR

◆前日の夜
 2日間のお祭です。今年も初日(3日)の夜に見学。おお!今年はミツビシか!

このライトアップはもちろん山車を照らしているのですが、山車は例年同じようなので毎年行く人には実質トラクターのお披露目です(笑) 30馬力クラスは山車との見た目のバランスも好ましいです。

MITSUBISHI R310 TRACTOR

◆翌日の神輿巡行は
 残念ながら雨天で始まりました。美しい仕上げのボディを細かい水滴が転がり落ちます。思えば昨年は猛暑続きでしたが、今年は毎日のように一時的に雨が降る異常な天気でした。

見ての通りエンジン下のトレイ状のフレームが前アクスルを支えるタイプで、これは流用エンジンを載せている事の傍証になります。 水冷4気筒ディーゼルは三菱の2,000ccトラック用、1963年製との事なので車体は「新三菱重工」製と思われます。

MITSUBISHI R310 TRACTOR

◆出発準備完了
 初期の三菱トラクターのデザインはどこか70年代的で、分かりやすい古さや魅力的な特徴が無い為に、これまで私はあまり注目して来ませんでした。

 ただし、これは逆に言えば初期からデザインが垢抜けていたとも言えるし、実際、この角度でみるとヨーロッパ的なスマートなデザインだと考えを改めました。三菱はこの後、R210、R200にもこの系統のデザインを採用し初期の三菱のアイデンティティになります。

MITSUBISHI R310 TRACTOR

◆三菱の初期トラクターも良く分からない
 うーん・・・何かハッキリ分からない感じです。現在の三菱農機は1980年に合併で出来た会社で、三菱農機HPでも存続会社とはいえ対等合併の片方であるサトー(佐藤造機株式会社)だけに触れている状態です。それ以前の三菱側の沿革はよく分かりませんし、当時の機種名をネット検索しても殆どヒットしない程にマイナーな雰囲気。結構実車は残っているんですけどね。
 

◆三菱R301について
 最初の三菱トラクターは恐らく新三菱重工製のR201(18ps)ではないかと思います。各社トラクターの初代機は個性的なデザインが多く興味深いのですが、三菱も負けず劣らずに独特なデザインで始まりました。


とても惹かれるスタイルですが未だ実車を観た事がなく相当なマイナー車に違いありません。三菱農機のHPにある1959年9月に生産を開始した最初のトラクターとはこのR201でしょうか?この多賀城市の工場がサトーなのか三菱なのかも分からないのでとりあえず要研究としておきます。

そして三菱として2作目に当たるのが今回のR301(35ps)でしょうか。何故か急に完成度の高いデザインになっていますね。エンジンは70ps級の4サイクル2Lディーゼルをベースに35psへデチューンして搭載しているようです。登場年が分からないのですが1968年ころまでは販売していたらしく、その間にエンジンが「KE41」型から「4DQ1」へ変更されています。

また当時、発売順序は分かりませんがR101(9ps)という乗用耕耘機が有り、これら各クラスの初代機、R101、R201、R301、で、一時はいわば01シリーズとでも言えるような小・中・大のラインナップを一時は組んでいました(こういう事に気づくと一気にイメージが整理されますね)。

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  エンジンが「KE41」型から「4DQ1」へ変更
 「KE41」は新三菱重工のジュピタージュニアT50(1963年)に搭載され、「4DQ1」は三菱重工業のキャンターT720(同じく1963年)から採用されたエンジンです。1964年の三菱重工3社合併後の統廃合で生き残ったキャンターのエンジンへ変更になったのでしょうか。

 さらに、三菱R301の古い資料には「KE41-31」「30~35ps」という記述がありました。KE41とKE31を折衷したタイプ(?)とも、KE31搭載仕様が存在したとも読めますが、「前期型(30ps)」という事なのかもしれません。

 KE31とは三菱ジープの為に作られた「初のジープ用ディーゼル」エンジンです。シバウラのk-20クローラートラクターではジープのガソリンエンジンJH-4と共に採用され。燃料の仕様違いで選択購入できたようです。また、1961年のコマツWD30トラクター(30ps)では、当初からいすゞDL200(ディーゼル)と併用されたようです(何故だ?)

以上を踏まえて妄想すると、このR301は当初KE31で始まり1963年に新型のKE41になり、更にいつかの時点で4DQ1に変更されたのではないかと・・・当てになりませんが。


◇初期の三菱トラクターのうちR101とR301は1968年頃まで販売していたようです。その頃R201は当然消えていて、R210(20ps)とR200(12ps)が、乗用耕耘機にR105(14PS)が加わっています。それらを初期の三菱トラクターと個人的には見ています。以降はMF(マッセイファーガソン)を真似た角ばった2段重ねグリルに変わっていきます。私はデザインをパクッたと思っていましたが、三菱とMFとはいつからか提携関係が有るらしく・・・うう、ややこしい・・・でも、これはまた別の話・・・



2013年7月9日火曜日

フォードA型エンジン機関車(後)

前回「フォードA型エンジン機関車(前)」の続きです。

那珂川清流鉄道保存会にてカーナビで調べてみたところ、車で2時間ほどの距離に足尾歴史館が有ると分かり急遽向かう事にしました。

カーナビは最後の最後の入り口で迷いましたが(笑)、着いてビックリ!なんだ!ココは天国か!? 私はこの地に8台も内燃機関車が有るとは知りませんでした。しかも個人的に嬉しいフォード・エンジンのGLが3両と、加藤製作所のGLが3両()もあり、その他の機種も「珍品」に属するものでどれ一つとして無視出来ない物なのでした。

※うち「フォードかつ加藤」のダブリが1両。動態の加藤4t、残る加藤の1両は状態は良くないですが特殊型です。

ちなみに閉館時間は午後4時です。が、私はそれを知らずに3時半すぎに着いてしまいました・・・閉館後までお邪魔しましてすみません!

  ◆◆◆足尾フォード◆◆◆

まずは偉業とも言える2009年制作のガソリンカー「足尾のフォード」。みなさんお馴染み、ネット上には画像も多いので説明は省略します・・・といきなり手を抜いてますが(苦笑)、実はこの地では細部ばかり見ていて車両の全体像等をあまり撮っていませんでした。時間が無かった上に沢山の見どころと、応対して下さったSさんの解説でテンション上がりまくり、帰ってデータを観たら撮り漏らしの多いこと!

Ford Model-A ashio locomotive
「足尾フォード14号車」はグリルとボンネットも乗用車フォードA型の物。この「ハート型は時期尚早と躊躇しているかのようなグリル」は1929年までの前期デザインのようです。ちなみにこの足尾フォードをカーモデルをベースに作ろうとしても意外とA前期型のキットは少なくて、大きなスケールでは設計の古いAMTの1/25くらいしかないと思います。そのキットもとくにディテールが良い訳でもないので困ります。

Ford Model -A engine
このA型エンジンは日本で見つけたものだそう。本体が赤かったりヘッドが無塗装(?)だったりして実用重視の好ましい雰囲気です。本来は濃緑色と思われますが、それだって再現すれば現代人には変に見えるかもしれません。

 
 ◆◆◆加藤3t◆◆◆

おお!ここには鼻血ものの3両が並んでいました!何れも整備中で本来の姿は見られませんが、むしろ普段見れないディテールを観察出来て私的には何倍もラッキーです。

kato works locomotive
先に書いたように私は昨年加わった4両の内燃機関車の存在を知らなかったのです。元は岩手県花巻の伊藤組(北海道のゼネコンとは無関係だそう)が保存していた車両で、この場所の3両はどれも一見してオリジナル度が高い上、搭載エンジン等から考えて戦前のモデルと思われる貴重な物ばかりです。中でも「田中土鉱機」と「米川鉄工所」の2両は現存しなければ存在を知ることも無かった珍品でしょう。

写真一番手前が加藤製作所、次が謎の田中土鉱機で、この2両がフォードエンジン搭載車です。細長い正面窓も両者の特徴でキャビンは伊藤組の注文で架装した物なのでしょう。


ラフな状態ですが上の画像に似た角度から。ボディ分解状態だと完成体では分かりづらい部分も認識できて大助かりです。例えばコレまで台枠裏の肉抜き形状が分からず4トン車を参考にしていましたが、今回裸の3トンを観れた事で違いも分かりました。

エンジン(後部)マウントはクラッチケースの下側で繋がった左右一体の頑丈なもので、そのためか他の機種で見かける「変速機と逆転機の間のマウント」がありません。

kato works locomotive Ford Model B engine
この加藤から外した物と思われるフォード・エンジンがありました。4気筒サイドバルブ、吸気ポートは2気筒集合なのでポート数6穴になります。レストア作業はそれなりに大変そうですが普段からフォードエンジンを動かしている同所であればレストアの最適任者といえるでしょう。

ああ!よく見たらB型のエンジンだ!もっとシッカリ観察しておけば良かった・・・。AとBは外観に少々の違いがありますが、細かい部品の多くには互換性があるのではないかと思います(テキトウ)。

上向き排気マニホールド、Uターンして下向き配管。吸気側はB型オリジナル。
ここでマニアックな話になりますが個人的な大発見!普通とは形状の違う排気マニホールドが加藤の脇に置いてありました。通常の乗用車やトラックでは使われていない『見たことのない』タイプです。

この排気マニホールドの特徴は上向きへ排気する形状ですが、なぜか排気管はグルッと下向きへUターンしています。もし車両設計時から下向き排気にするのであれば、通常の自動車のマニホールドを使えば何も問題ない筈ですから、恐らくフランジから先の排気管だけは何らかの理由で後に作り直された物なのでしょう。

つまりこの排気管の迷走ぶりは、このマニホールド自体は加藤に付いていたオリジナルである傍証になると思います。オリジナルの排気管はココからシンプルに真っ直ぐ上に伸びてエンジンフードを貫通しています。

実は私、コレまでマニホールド部分の資料が見つからず、排気管の正確な位置とディテールが知りたくて仕方有りませんでした。

しかし今回の発見で、「1-2シリンダーの中間辺りから上向きに排気する」マニホールドがCADで描いていた(予想された)位置とピッタリ合致しました。この本物ではフランジ部分が傾いていてその理由も分かりませんがディテールは参考にして良いでしょう。


◆◆◆田中土鉱機◆◆◆

超レアな田中土鉱機なる4トンクラスの機関車。コチラはミッション分解程度の状態だったので搭載状態のフォードA型エンジンを拝めました。加藤の方はエンジン・クラッチ・ミッションがフォードBB(B型のトラック)用と思われるので、田中土鉱機がエンジンと同じくフォードAA(A型のトラック)用だとしたら詳細に見比べる事で何か発見があるかもしれません。エンジンはシリアルナンバーに漢字で「警(?)」の打刻の有る何か曰くの有りそうな物でした。
Ford Model-A engine locomotive
加藤と同サイズ。台枠の盛り上がりが大きいですね。
こちらは吸・排気ともに典型的A型のようです。
シリアルナンバー「K220警(?)」の打刻

余談・・・
フォードの4気筒エンジンは、個人的に大好きなフォードソンFトラクターと(全く別物ながら)形状が似ていて勝手に愛着を感じています。実は福島に存在するフォードソンも見に行ったのですが今回は分解中でカバーが掛かった状態でした。あの姿を見れず残念ではありましたが『マジで動かすつもり!?』という驚きもこの旅の収穫でした。

何だかグダグダで何が言いたいかサッパリになりましたが、これを機にフォードの4気筒SVエンジン(T型,A型,.B型)を搭載した車両に興味を持っていただければ幸いです。


軽便鉄道系リンク
 鶴居村営軌道の軽便2両が移転!
フォードA型エンジン機関車(前)
フォードA型エンジン機関車(後)
加藤くん3DCG
道端に軽便鉄道(狭軌ディーゼル機関車)が!

NPO法人 足尾歴史館

2013年7月1日月曜日

フォードA型エンジン機関車(前)

ここ数年、6月初旬に東北地方に行くついでに長距離ドライブもしています。今年は全く意図していなかったのですが「フォードA(およびB)型エンジンを搭載した機関車」を複数見ることが出来たので記事に残そうと思います。

◆◆◆鶯沢町鉱山資料館 ◆◆◆

宮城県栗原市にある小さな機関車です。参考にしたのは【編集長敬白アーカイブ(細倉の“ABC”。)】 この記事が無ければ私は存在すら知らなかった筈です。エンジンの写った写真も掲載されているので詳しくはそちらをご覧くださいまし。なお、私では掲載写真からはA型かB型か区別がつきませんが、未掲載のディテール写真が沢山あっての断定でしょうか。ぐぬぬ、もっと観たい!(後日見分けがつくようになりました。B型ですね)
 
ABC 機関車 Ford Model A locomotive
ボンネットの長さがほぼエンジン長というなんとも魅力的な機関車。現場ではエンジン本体を見る事はできませんが、もし予備知識が無かったとしてもミッションの形からフォード搭載とは判断出来たと思います。見るからにエンジンありきの「メカ・ミニマム」な上に「マン・ミニマム」(笑)な専用設計なので、中古エンジンの流用等ではなくフォードBの現役当時物じゃないかと思います。

クラシカルなスタイルもあってか感覚的には2tバテロコより小さく感じました(実際どうか分かりません)。何れにしろ驚くほど小さい「謎の機関車」は興味深いですね。大きい模型で欲しいです・・・。

この鉱山資料館は過去に何度か行った鳴子温泉からは15km位の位置なのに存在を知らず勿体ない事をしていました。今回は仙台から一般道で行った為に片道2時間掛かりましたから。

電気機関車 ED202
2013年現在の状況。今は屋根付きで静態保存されています。
↑オマケ、近くには栗原電鉄・細倉マインパーク前駅(2007年に廃駅)があり、そちらには電気機関車ED202が展示されていました。

◆◆◆那珂川清流鉄道保存会◆◆◆

栃木県那須烏山市、昨年、突如存在が明らかになった凄まじい数の鉄道コレクションです。

6月15日当日、昼食中にネットをチェックすると、この日に『初のミニイベント』が行われるとありビックリ!3日前にテレビ「ナニコレ珍百景」で紹介される事に合わせて放送前日に慌ただしく告知していたようです。私は施設が公開されているのかさえも知らずに向かっていたので渡りに船、これは本当に幸運でした!

なお、当日は地元の方もキツいと言う猛暑で道産子の私は蒸発しかけましたが、それでも施設の雰囲気はなんともユルユルで居心地が良かったです。料金所に人がいなかったり(ちゃんと後で払いましたよ)、事務所には生まれたばかりの9匹の子猫がいたり(笑)

どうでもいいけれど、札幌ナンバーの車を駐車場に停めるのは超マニアが遥々来たみたいでちょっと恥ずかしかった(誰も見てないだろうけどw)。

東鉄運輸 加藤 3トン GL
SKW(酒井)グリルの付いた加藤製作所製3トンです。外見はともかく、私にとって理想型である「加藤、3トン、海軍台枠、フォードエンジン」の4条件が揃っている可能性の高い車両です。残念ながらエンジンが見えないので「可能性」となりますが、ミッション形状やグリルの位置から推察するにそんな気がします。排気管も右側にあるので問題ないし・・・もっとも、この排気管は長く延びているのかダミーなのか妙に後方・・・。

元の東鉄運輸にあった頃はどんな状態だったのでしょうか。こういう産業用機関車は実際に使用される過程で大胆に改造されたりしますが、海軍仕様の痕跡は勿論の事、改造過程を知る事も資料として重要なので、できるだけそのままの姿で見たかった気もします。

東鉄運輸 加藤 3トン GL
手書きされたミッション段数、自走可能か!?
↓ついでにもう1両の加藤3トン。 当初私は勘違いしていましたが、こちらがかつて蔦屋建設にあった3両中の1両で、気になる海軍マークはココで復元したものだそうです。 という事は、蔦屋建設に有った本物の海軍マークの個体ではなく、かと言って1両有った憧れのフォードエンジンでもない『残りの1両』(身勝手な言い方w)のようです。確かにボンネット横の張り出しの傾斜が大きいという特徴が残っています。

ただ、元々のグリルはこんなに低くなく、ボンネットは水平だった筈ですし、キャブも復元しすぎな感じで蔦屋建設時代とはまるで別物に見えます。もしかすると入手時点で既に鉄くず化して壊れていたのかもしれませんが、ちょっと悲しいですね。一説によるとまだ他に3トンを所有されている様なので本来のスタイルの公開が期待されます。


 ◆◆◆◆◆◆

フォードA型とは

フォードのA型「乗用車」はかの有名なT型フォードの後継車で、1927–1931年の短い期間に約485万台が生産されました。エンジンは3.3リッターで、サイドバルブ4気筒は同社得意の信頼性の有るものでした。次の1932年型フォードからはV8エンジンが搭載されるのですが、4気筒版もB型として併売されています。AとBのエンジンは細部は異なりますが基本的には同じ様な物といって良いでしょう。

アメリカでは禁酒法時代のギャング映画に必ず出てくるほどのお馴染みですが、ソ連ではGAZ-Aとして1932-1936年に一世代遅れで生産されたようです。ヨーロッパ(イギリス・ドイツ)では課税の都合で排気量を減らしたバージョンが作られ、日本では横浜で組み立てられた物が大阪のシボレーと市場を二分するように普及し、これがアジア向け輸出モデルにもなっていた様です。

このように「フォードA型乗用車」は世界中に見られた訳ですが、完成車体以外にも、エンジン単体の供給やGAZ(AA及びAAAトラックは勿論、装甲車など軍用車両にも使用)も考えると、「A(B)型のエンジン」の使用例、生産数・生産時期などなど、それらの全てを知る事は困難といえる程に多岐にわたると思います。


個人的には・・・、以前からフォードA型エンジンには興味がありました。1/25プラキット等を参考に1/35スケールのエンジンをスクラッチしたり、同系のフォードB型エンジンを搭載するロシアン・ ジープ「GAZ-67」のディテール写真集に萌えたり・・・。製作中のCAD加藤もフォードエンジンありきで進めています。

 ところが、このエンジンを意識するようになって10年以上経ちますが、今年の春に見つけた「謎のトラクター」までは実際に見る機会は有りませんでした。そして今回の旅で一気に複数を見られて大喜びしているというわけです。


大正期のトラクターですが結構大掛かりな改造がされています。
なお、記事が長くなった為に前・後編に分けていますが、もしSKWグリルの加藤がフォードエンジンでなかった場合は、今回は該当するのが1両のみで非常に間抜けな記事となります(笑)

フォードA型エンジン機関車(後)に続く・・・ 


軽便鉄道系リンク
 鶴居村営軌道の軽便2両が移転!
フォードA型エンジン機関車(前)
フォードA型エンジン機関車(後)
加藤くん3DCG
道端に軽便鉄道(狭軌ディーゼル機関車)が!

2013年5月7日火曜日

ロシアの2・3代目小僧 S-3AとS3D

もはや意味不明なタイトルになってますが(笑)

前回【露製1つ目小僧】の時に「キューベルワーゲンの代燃車をチョロQ化したかのような端正なスタイル」と書いたのがこの2代目SMZ(セルプホフ・オートバイ工場)のS-3Aです。どう?格好いいっしょ?

SMZ S-3A СМЗ-С3А
春、何とか雪景色を撮れたものの、足元がざらめ雪で悲しい(笑)
あれから調べて分かりましたが、やはりSMZの作った超小型車(モトカリヤスカ※)は、元々は大祖国戦争(WW2)で多数生じた身体障害者向けに、近距離の移動手段を主目的として作られた車両だったようです。

※ ロシアではキャビンスクーターなどの超小型車をмотоколяска=モトカリヤスカ(自動乳母車) と言うようですが、本国では今回取り上げる2台がメジャーで、モトカリヤスカといえば一般的にコレの事を指すようです。 
(「あの女優はゴーリキィすか?それともモトカリヤすか?」で記憶

◆◆◆◆SMZ S-3A (СМЗ-С-3А)◆◆◆◆

さて、前回も長々書いたので、今回は実車に絞って書いていきます・・・

●ボディ セパレートフレームを持たない『鋼管スペースフレームにスチールパネル貼り』というスーパースポーツカーか何か?というようなモノコック的なボディ構造です。ただしバードケージと言うような立派な鋼管フレームではなく、私には竹ひごに紙を貼ったゴム動力飛行機のような、パネルを縁取って補強した物というイメージがしました(もしかすると予めフレームを組むのではなく、先にパネル毎に鋼管で補強した物を組んでたりして?)。こんな手間のかかる製造法では、この種の車に求められる量産性は低く、そのくせ車体重量は425kgとサイズの割に軽くはなく、やはりこのボディ構造は大きな欠点の一つとされているようです。

SMZ S-3A СМЗ-С3А

●エンジン 後部にバイク用の単気筒2サイクル346cc・8馬力エンジンИж-49型)を積んでいます。これはタミヤが1/35でキット化したDKW・NZ350バイクの戦後ソ連版のエンジンで、強制空冷化して前後逆向きに搭載した物なのでした。変速機まで一体のバイクエンジンをデファレンシャルケースの上にレイアウトし、その別体のデフへはチェーンで動力を繋いでいます。バイクエンジンの流線型サイドカバーを切り欠いてドライブチェーンとファンベルトをスプロケットから繋いでいる姿は微笑ましいくらい素直な流用エンジンです。


●サス回り 後輪はコイルスプリングを左右それぞれ2本を使ったスイングアクスル、前輪はワーゲン・ビートル(ポルシェ)風のトレーリングアーム+横置きトーションバー。生意気にも4輪独立懸架です。ただし、短そうなサスストロークと小径ホイールでは走破能力は低そうにみえます。実際のところ、ロシアの荒野を走る車ではなく、身体障害者向け近距離移動用なので石畳などに追従出来れば良いのかなと思います。当初(1958~62)の古臭い摩擦式ダンパーは油圧テレスコピック型に変更(1962~70))されました。

SMZ S-3A СМЗ-С3А
後ろ姿も完璧?後継の試作車たちにはノッチが付いてこの味は失われます。

●操作系 バリエーションはあるのですが、当初から作られた基本型はペダルがなく両手だけで運転できる仕様のようです。先に三輪車を作ったのもバーハンドルの方が各種手元操作向きだったからかもしれません。そして四輪化とともに丸ハンドルになっています。ハンドル裏側にF-1のパドルシフトのように手前に引くレバー(?)と、ハンドル表側に伸びた親指で押すレバー(?)の2種がコラム左右に付いています。合計で4本になりますが左右は連関しているようにも見えます。通常のシフトレバーらしき物がフロアから2本伸びているので、変速自体はハンドルから右手を離して行う筈です。

ちなみに、YouTubeでмотоколяскаを検索すると幾つか動画がありますが運転操作はイマイチ理解できませんでした。バリエーションモデルが多いのか、後に改造された物なのか動画ではペダル付きが多いようです。


SMZ S-3A СМЗ-С3А
四輪と三輪。ノーズの小さなトランクやスカットルの3本プレスも同じデザイン。
●性能 なんと120kmまで刻まれた速度メーターが付いています(笑)が、メーター自体は何かの流用らしく、カタログ性能では時速60kmです。もっとも、車重425kgで8馬力4速ミッションでは60km出るかも怪しいと思いますが・・・。まぁその程度でも後輪のみの機械式(手動)ドラムブレーキを考え合わせると現代日本人には最高速を試すのも怖い代物のような気がします。2人乗って結構軽快に走ってる動画があったりはするのだけど・・・。


●デザイン 三輪車の直接の後継モデルで、たしかに両者を並べて観ると前輪とライトを2つにしただけの正常進化に見えます。個人的には、かつて一目惚れしたこのフォルムが、実は積極的に「デザイン」されたものではなく、半ば成り行き上こうなった物と確認出来て感激しました。

そして、有りがちな事ですが、このモデル以降はグレードアップを思わせる「デザイン」を取り入れ始めてアンバランスな姿になって行きます。幸いどれも試作止まりで量産された物はなかったのですが・・・



◆◆◆◆ SMZ-S3D(СМЗ-СЗД)◆◆◆◆

・・・やがて3代目が登場します。

個人的な好みは置いておいて、確かにC3Aのデザインは登場した58年でも垂れた後部やフラッシュ・サイド化されていないボディは新しいとは言えず、まして70年ともなれば化石のようなデザインだったと言えます。当時はまだビートルや2CVがありましたがあれは殿堂入り的な別格の車でしすし。

そこでC3A後継候補の試作車では、後部にノッチを付けたものや、ボディ全体を流麗?なスタイルに一変した物など、3BOXの小型車風のスタイルか試みられたのですが・・・

が、何がどうしたのか、採用されたのは、すっかりデザインを諦めてしまったかのようなコレです(笑)

どうしてこうなった!?


СМЗ-С-ЗД

まるで軍用車のような補強リブだらけのプレスボディ、側面パネルなどは溶接跡で縁取りされている始末。西側への見栄などは一切捨てて、数を揃えれば文句ないだろう的な物に成り下がってしまいました。

ただし、これほどの直線と平面で構成されたデザインを、ワーゲン・ゴルフ(1974年)よりも前に採用していた事はトレンドを先取りしていた・・・なんて書いてて虚しくなるほどやっぱりヒドイ(笑) 


なお、ボディだけではなくリア・サスペンションがフィアット風に、エンジンも大きい物に一新されている様ですが、個人的にはもうどうでもよい気がします。もう調べる気力が出ません(笑)


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今回も動画にしてみました。
http://youtu.be/LtVV3YYwjIw

何枚も画像を貼るよりスライドショーの方が軽くて良いと思うのですが、スマホ対応に問題が有るようで踏み切れません・・・。




ところで・・・

ターンテーブルで回っているS3Dの姿をじっと眺めていて、何か妙な既視感を感じました。

わかった! ウルトラ警備隊のポインターだ!

いやいや、比べると何一つ似ていない!マニアに言ったらブン殴られる!

でも、何故かそう思ったのだから仕方がないのです。

以来、少しこの形が素敵に思えて来てるのですが・・・それだけは認めたくない自分がいます(笑)


2013年4月15日月曜日

ブリキの耕耘機と少女(笑) MS857

CHINESE CLOCKWORK TRACTOR MS857 tin toy
う~む、素晴らしい。良い味出しとる。

昨年、アメリカのオークション(ebay)で落札した中国製のブリキ玩具です。暇つぶしで見ていたのに思わぬ発見で衝動的に入札したパターン。

普段ウォッチしているわけではないので出品頻度や相場は全く分かりませんが、何となく想定していた半分くらいの価格で落札出来ました(※1)


●憧れの品
実はコレ、古い洋書で存在を知って以来、長い間憧れていた物でした(※2 

その洋書は、世界中のファーム・トイを白黒写真で淡々と紹介した厚い本で、当時は入手どころか実物を見る事すら不可能な農機アイテムが大量に載っていました。まさに労作という感じの資料です。

ただし「世界中のファーム・トイ」と言っても欧米のトラクター模型でほぼ占められていて、トラクター文化の圧倒的な差を思い知らされる内容でもありましたが、そんな中で異色を放つ東洋的な「耕耘機」模型が2つだけ載っていたのです。

 一つは今や伝説的なプラモデル「サンワのホンダ耕耘機F190」

もう一つがこの中華製ブリキの耕耘機MS857

それは、数少ない「東アジア製」アイテムという事で夢がありました。『これなら欧米より入手が困難という事はないだろう、どこかの古い玩具屋で埃をかぶっているかもしれない・・・・こりゃお宝発見あるかもよ!!』と。

もちろん実際はそんな事は全然ありませんでしたが(笑)

CHINESE CLOCKWORK TRACTOR MS857 tin toy
CHINESE CLOCKWORK TRACTOR MS857 tin toy
●現物
届いてみると箱の長辺が約17cmと想像より小さくてちょっと拍子抜けしました。どおりで想定してたより安いはずだと納得です(笑)

ブリキボディの一部分が箱と擦れて剥がれていました。これは遊んだ形跡ではないので私は気になりません。また、内部のゼンマイ機構が大きいのか一部ボディに膨らみが見られますが、これも味の一つと解釈します(笑)

ゼンマイは前車輪と緑のプーリーをガラガラ音を立てて回します。ただ、左車輪は触ってもゼンマイの抵抗がないのでフリーになっているようです。試しに少し走らせてみると旋回せず直進したのは意外でしたが、どうやら少女の足元にある補助輪の向き通りに進むようです。なるほど旋回させるなら1輪だけ駆動した方が良いですね。

●出来栄えは・・・
モデルとなった耕耘機の形や、ブリキをはじめ各パーツの材質と造形、ソフビの少女頭のティストは日本製なら1960年代以前の出来かと思います。

ですが、意外なことに1980年頃の製品なのだそう。

ええっ?と思いますが、なにせ例の資料本の発行年に近いのでこれに関してはデータは信用出来ると思います。

箱には「中国製造」と自慢気に書かれているので輸出を意識した商品かも知れませんが、この出来は作為的にレトロを演出したものではない気がします。

中国では最近まで(今も?)この種の日本式の耕耘機が使われていましたし、当時の工業製品としてもこんな物だったのだろうと思います。

爪を折り曲げて固定するブリキ、久しぶりに観たなぁ。

余談になりますが、9年ほど前、中国製の耕耘機のダイキャストモデルをアメリカ経由で2種入手しました。その2種は同じ物のバリエーションで、一つは鉄車輪の耕耘機、もうひとつはゴム車輪の運搬車つきのとても出来の良い物でしたが、しかし程なくして見かけなくなってしまいました。後になって同型のライターを見たので金型を改修してしまったのかもしれません。

という事で、今は一流ミニカーブランドの製品も一手に引き受けている国なので、技術は格段に向上しています。

おそらく、この手の古き良きテイストを持った耕耘機のブリキ玩具は二度と作られる事はないのでしょう。それは中国のみならず世界的に言える事かもしれません・・・。


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(※1)ebay 
  後で調べたら割と普通に出品されるみたいです。でも、値段は結構しててビックリ(*_*) 私は一応ラッキーだったようです。

(※2)古い洋書 
 1985年発行のInternational Directory of Model Farm Tractors. 購入は随分後ですが、ネットのない時代では特上の参考書で、今でも私のバイブルです。

サンワのホンダ耕耘機」「野村トーイのTB20」の2大お宝を知ったのもこの本ですし、イマイのキット(笑)まで網羅していたと言えば凄きでしょう。ただ、さすがに万代屋のブリキ耕耘機は有りませんでした。

恐ろしい事に、サンワのホンダとこの中国製の耕耘機模型に挟まれて掲載されていたのが1/16リモコン「ビッカース・ビゴー」でした。ビゴーの足回りは「サンダーバード」のプロップ(ジェットモグラ等)で汎用的に使われたので世界中のマニア垂涎の幻アイテムです。そのページを見たら、当時の私がこのブリキ耕耘機も良いものだと思ったのは無理はありません(笑)




2013年3月16日土曜日

露製1つ目小僧 SMZ-S1L (СМЗ-С1Л)

◆ ソ連の超小型車SMZ-S1L

SMZという見慣れないメーカー名を知ったのは20年ほど昔、世界のキャビンスクーターをまとめた洋書を買った時でした(Kleinwagen international )。掲載されていた四輪車SMZ-S3Aの写真は、キューベルワーゲンの代燃車をチョロQ化したかのような端正?なスタイルで強い印象を残したものです。

ああ...それなのに、このSMZの三輪車S1Lとなるとまるで記憶にございません。あの大冊にも載っていなかったのか、ヘンテコ揃いのキャビンスクーター本では逆に埋もれてしまったのか分かりませんが、まぁそんな事はともかくとして、コイツは余程のマイクロカー・マニアでなければ知らない車でありましょう。

 SMZ-S1L (СМЗ-С1Л) 1/43
裏ワザ: ライトを指で隠して見ると
でんでん虫な車幅灯がジワジワくるよ
SMZ、ソ連らしく3文字の略称です。正式名称は「セルプホフ・オートバイ工場」くらいの意味で、現在でもモスクワの南部セルプホフの地で、社名をSeAZと名を変えながら、小型乗用車VAZ- 1111 「Oka」 の生産工場の一つとして操業しているようです。

ちょっと調べますと、四輪のS3A型はソ連時代に主に身体障害者向け車両として生産されたそうなので、この三輪車S1L型も含めたSMZの超小型車は皆そういう役割だったのでしょう。そのため個人登録(?)が基本的に出来なかったとかで現存車は少ないらしいです。この3輪車系はエンジン等いくつか変更を加えたS3Lまで含めて1952から58年頃まで生産、四輪へとバトンタッチしています。


◆ 東側のミニカー

ロシアのディアゴスティーニがミニカー付き雑誌、「ソ連の自動車伝説」を2009年から隔週で刊行し、現在も絶賛継続中なので、いつの間にやら濃いめのミニカーが倍増していました。個人的にはこの調子で「チェコ・スロバキアの自動車」なんて始まったらヤバすぎると本気で恐れています(笑)

また雑誌物ではありませんが、レジン製の限定品ミニカーでは超ゲテモノのZIL-29061(アルキメディアンスクリュー推進!)などが昨年発売されているので、私が知らないだけで旧東側のミニカーがここ最近は熱いのかもしれません。
テールライトはカブトガニの目を連想してしまった。
それ以来、海底にいる何かに見えてしまう。
今回のコレはディアゴスティーニの物で、SMZはこのS1Lだけではなく、4輪の「丸っこいS3A」と「角々のS3D」の計3種も出ているあたり素晴らしいです。そちらもいずれ入手したいものです。

嬉しい事に、本体(?)の15ページの冊子は、当該車種の記事だけで編集された資料性の高い物で、ちゃんと取材して撮られたカラー写真を観るだけでも満足感が得られる物でした。特にマイナー車種に関しては唯一無二の資料になるのではないでしょうか。あとはロシア語の本文が読めれば最高なんですが・・・。

という事で、もし冊子と一緒に入手出来たならば、例え中国からの流出ミニカーが安く売られていても損した気分にならないかもしれません。


◆ 1目、2座、3輪、乗用車・・・

実はかなり珍しい形態の車です。この条件に当てはまるのはキャビンスクーターの一部しか思い浮かびません。手持ちのミニカー3台を集めてみると、皆さん妖怪っぽいのがなんとも(笑) 

フジキャビン SMZ-S1L プジョーVLV
三匹の妖怪 
友情出演、フランスのプジョーVLV(1941)日本のフジキャビン(1955)
もともと、ソ連、日本、フランスの作る車は、それぞれ違った意味で「美的感覚の特殊さ」が見えたりするのですが、この3台からそのお国柄を見出す事には注意が必要かもしれません。何故ならその国を代表するどころか、その国内でも異端中の異端なのですから(笑)

でも、少なくともSMZの色、本体のグリーングレーとライトの黒にはソ連らしさを見て取れますね。


なお、超小型車の場合は他の2車のように、スペース効率やコストの面からスクーターに類するメカで後1輪化するのが普通ですが、SMZの場合は、スイング式のドライブシャフトを使った後2輪で、つまり、ユニバーサルジョイントを4個使用した当時としては贅沢な足回りになっています。

しかも、サスペンションは左右それぞれに2本の(太さが違うようにも見える)コイルスプリングが使われ、(断定はできませんが)左右ハブ間はチューブで繋がれている様子なので一種のド・ディオンアクスルらしいのです逆から見た画像をネットで発見して分かりましたが、Aアームによる独立懸架なのでした・・・まるでスポーツカーか何か?という構成ですが、まぁ、写真で見ると安っぽさ満開で、小さすぎて自動車部品を流用できない事と、小ささゆえに強度はそこそこで採用できたというメカニズムなのかもしれません。

海底を徘徊中、ダボハゼが来て
こっそり逃げる何かの赤ちゃん

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ソ連(ロシア)の自動車は、コピーなのかライセンス生産なのか、西側と同じ様な真っ当なデザインが意外と多い一方で、兵器などと同様に、荒削りなデザインもチラリと顔を覗かせます。足りないのは、美しいとか格好良いとかいう「華やかさ」(頽廃的?)でしょうか。

そんな中で、しかも大きい車が多いソ連で、ヘンテコで小さく可愛い(キモカワ)のSMZは、独特な魅力を持った貴重な存在といえるでしょう。


ついでに動画にしてみました。宜しければ360度、可愛い姿を御覧ください(笑)



続編

2013年2月18日月曜日

加藤くん3DCG

※ CAD、CGのプロの方もいらっしゃるので誠に恥ずかしいのですが、全くの素人という事で笑って許してくださいね。

  昨日ネット検索をしていると、ちょうど5年前の2008年02月17日にこの画像の記事をアップしていた事に気づいてビックリしました。もう5年も経ってる・・・。

加藤3トンGL コマツ・ユニカ スバル・ラビット

あの後に諸事情でCADが使えなくなって途絶えていたのですが、また必要性が出て来たので新たにソフトを買って再開しました。操作の慣熟のため(と称して)この内燃機関車にディテール追加をしています。やはり好きなものを対象にした方が積極的にトライ&エラーできて良いようです。

モデルにしているのは加藤製作所3トン型。その中でも、フォードA型エンジン搭載かつ海軍型という仕様にしています。旧軍の持ち物ということも有って、そのものズバリという資料は殆ど無いのですが、各種資料から推理を巡らす事である程度は再現出来ると思っています。まぁ、困ったらCADなので普通の仕様に変更する事も簡単に出来ます。

加藤3トン ガソリン機関車

現在の様子。すでに馬鹿みたいに時間を費やして作っているにもかかわらずマダマダ途中です。外観はともかく、内部も結構見えるのでこれを作らねばならず、毎日ディテールを追加しても永遠に作業が終わらないような感じになっています(*_*)

とくに最終的な目的とか目標がある訳でもないので、もうその日の趣味的な自己満足だけで続けてる感じ・・・

まぁでも、趣味でやってる事、意味や目的など重要じゃないですね。

加藤3トン内燃機関車



・・・ということで、これまた意味も目的もない自己満足の動画も作ってみました(笑)。


 自分の子供やペットのビデオを観せる人と、観せられる人の温度差は分かっています(笑) でも、本人的にはこんな11秒の1シーンでも、まるで映画を撮ったような満足感のある愛しい「作品」だったりするものなのです・・・

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ブツ自体はCADで制作し、描画(レンダリング)は中間ファイルに変換してCGソフトで行っています。以前は某有名国産ソフトを使ったのですが今回はフリー3DCGソフトの「ブレンダー」にしました。いやもう、定評があるソフトで今更何言ってるという感じですが、やはり素晴らしいです。マスターしたら凄い映像を作れそうですね。操作が難解しすぎて私は無理っぽいけれど・・・




軽便鉄道系リンク
 鶴居村営軌道の軽便2両が移転!
フォードA型エンジン機関車(前)
フォードA型エンジン機関車(後)
加藤くん3DCG
道端に軽便鉄道(狭軌ディーゼル機関車)が!

2013年1月10日木曜日

占領下のプジョー、 VLV 1941 (1/43)

今回紹介しますはプジョーVLVです。 ドイツ占領下のフランスで生産された2座席の電気自動車で、一見すると3輪車ですが正確には後輪トレッドが極端に短い4輪車です。1941~45年の間に337台の生産。

あの、他社に先駆けて大胆な流線型市販車を作っていたプジョーが・・・と思うと可愛らしいスタイルも少々悲しく見えてくる、そんな歴史の証人的な一台と思います。

作りも見た目どおりの簡素な車で、左ヒンジのボンネットを開けると内は大きなバッテリー4個で占められていて、デフケース直結のモーターで後輪駆動して最高速度たった30km/hで走るという代物です。
Hachette/Norev Peugeot VLV 1941 1/43
さすがに資料となる現役当時の写真は少ないのですが、博物館等に複数が現存在してるので画像検索すると沢山出てきます(う~む。ネットの無い頃なら全部お宝画像でしたね)。


 この1/43のミニカーは、07年にフランスのミニカー付き雑誌の2誌、アシェットの【プジョー・コレクション】と、アトラスの【郵便配達車】からそれぞれのバージョンで発売され、その後ノレブから幾つかのカラーバリエーションが単品発売されたようです。

私はアシェット版を海外通販で何とか入手したのですが、付属ベース以外はノレブから出たものと全く同じで少し悔しいです(笑) 同シリーズには他にも欲しいのがあったのに選択間違えたかもしれません(苦笑)

モデル化されているのは、ドアの高さが少し高い後ろヒンジの型・・・というか普通の生産型。いや、雑誌では試作型か極初期型と思われる写真が表紙等に使われていて、一瞬そっちが普通かと勘違いしてしまいました。

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未完成 CCC Resin Model Kit Peugeot VLV 1/43
おまけ。以前買ったCCC社のレジン・キットです。ノレブよりふっくら気味であるもののコチラも特徴をよく捉えた雰囲気の良いキットでした・・・と思ったものの写真に撮ると随分違って見えますねぇ(笑)

 CCC & Norev Peugeot VLV 1/43
お尻がボートテイルで可愛い・・いや、こうして見るとボディそのものがボート型でした。

 余談

●パリ近郊の工場で細々生産されたようです。生産が45年までという事は、プジョーの主要工場であるソショー工場が43年に爆撃で壊滅した後も生産出来たという事ですね。

●運転席と助手席が少し前後にずれたタイプで、フジキャビンやマクラーレンF1(^_^;)なんかを連想します。

●シート座面が低いため、乗員は座椅子のように足を前に伸ばして座るようです。

●戦後のイセッタやハインケルも3輪風の4輪キャビンスクーターでした。ただし、3輪車が税制上有利になるイギリスでは3輪で発売されました。もしかしてプジョーVLVはドイツがイギリス占領した後に売れるような設計だった?(笑)

●プジョー・コレクション誌と、郵便配達車誌は、このVLV意外にも魅力的なモデルが有って目移りしそうでした。いや・・・郵便配達車ではベスパ・アペに浮気してVLVは買わなかったんでした(笑)


◆◆後日、動画作りました ◆◆