分館の一番奥には丸みのある見慣れないブルドーザーが有りました。ベースとなったトラクターは【FIAT 451C】で、これ自体が日本では希少種で、上富良野の本館にも無い車両です。
もっとも本国イタリアでは割とポピュラーっぽいのですが、それでも【湿地キャタピラ】や、このタイプの【アングルドーザー】を装着したちょっとした特殊な仕様は画像検索した範囲では見つかりませんでした。
この手の車両を観ると、「普通の小型ブルじゃだめ?コッチだと安いの?」とか思うのは以前のカウンティCD50ブル同様ですが、湿地キャタピラと妙に細いドーザーブレードを見ると、ある種の特殊性を考慮した採用のような雰囲気がします。
そして、説明文を見ると・・・
「八郎潟」の文字!きゃぁぁ!
当初は興奮しました。八郎潟干拓事業には幾つかの珍品マシーンが投入されたと聞くので、これも知られざる一台なのかと。
ただし、説明文をよく読むと導入したのが1967(S42)年なので、干拓段階が終わり、入植時代に向けた車両だったのですね。意外にも「プラウ・ディスク・ハローなど」を取り付けて作業したとあるので、ブルドーザー専用ではなく農耕トラクターとしての汎用性を期待した種選択なのでしょう。ふむ、勝手に納得。
さらに調べてみますと、この昭和42年はちょうど第1次入植者が入植した年で、翌年から営農が始まるという、時代の変わるタイミングなのですね。
実はその頃の入植地はまだまだ普通の「農地造成後」レベルではなかったらしく、装輪トラクターが泥濘に嵌るなんてことが珍しくは無かったようです。このフィアット451Cの湿地用キャタピラも納得といったところ。
また、入植自体は第5次まで行われているので場所によっても地面の仕上がり状況が全く違った筈です。本格的でなくとも一応は複数の役割をこなせる機械として予備的に持っていたい気もします。
このフィアット451Cが例えば入植者達が共同使用した物なのか、もっと広範囲の農地造成目的でも使われた物なのか、そういった使用状況のことも知りたいと思いました。
あと・・・目論見通りに整地と農耕の両方で十分に役立ったのかも知りたいですね
(ちょっと疑ってますw)
フィアット451C 出力45hp(34kw)、「C」はクローラーでしょうか |
SOMECA(フランス)のページ451マニュアルと400シリーズリペアマニュアル(pdf)
●前回の記事「土の館」分館へ
●後日追記
当時の日本語版のカタログには451クローラーが三種載っていました!
451Cは「標準」 「広幅」、451CWとして「湿地用幅広」。
この幅広湿地+アングル・ドーザー仕様が作業する写真も載っていたので、一品物とかではなく純正品の組み合わせのようです。
また、コマツのユニカのオプションにこのような細いドーザーブレードがあり、フロントグレーダーの名称を知りました(業界では常識かもしれませんが)。
やはり本格ブルドーザーのあと、農地造成の後半くらいから農耕まで使える汎用性が導入動機になったのでしょう。
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